2017年5月23日火曜日

体が温まる前に

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デイリースポーツ 2017.5.22
八重樫まさか陥落 世界戦最短165秒TKO負け「派手に散りました」
 「ボクシング・IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦」(21日、有明コロシアム)
 ダブル世界戦が行われ、IBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(34)=大橋=は暫定王者ミラン・メリンド(フィリピン)との統一戦に1回2分45秒でTKO負けし、3度目の防衛に失敗した。 
 わずか165秒。激闘王があっけなく王座を明け渡した。初回1分30秒過ぎ、八重樫は左フックを被弾し、たたらを踏んで尻もち。「そこからはうろ覚え。1回目のダウンでほぼ決まっていた」。続けざまに2度のダウンを喫し、レフェリーが試合を止めた。
 14年9月にローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に喫して以来3度目のKO負け。初回は自身初だった。3度目の防衛に失敗した八重樫は「こんなに早く終わると思ってなかった。自分の力のなさが出た。派手に散りました」と力なく笑った。
 試合前日には小学6年の長男の運動会があったが、決戦を控えていたため見に行くことはできなかった。控室では久々に家族と再会したが、長男は父の敗戦に涙を流していたという。「親父がこんな試合をしてるようだと…」。今度は寂しそうに笑った。
 2月に34歳を迎えての初戦だった。年齢的な衰えを指摘する声もあるが「自分を奮い立たせるものがあればきっと立ち上がるし、『もういいかな』と思ったらスパッと辞める」と話し、進退についての明言は避けた。
 ライトフライ級の主要4団体を日本人王者で独占したが、八重樫の陥落で一日天下に終わった。今回で6度目の黒星。「負け慣れているという言い方はおかしいが、いろんな山を越えて、また大きな山があった。どこまで高い山か分からないが、そこまで駄目とは思わない」。心の奥底には、まだ小さな炎がくすぶっていた。

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デイリースポーツ 2017.5.22
【長谷川穂積の拳心論】井上はボクシング界の日本ハム大谷
 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(21日、有明コロシアム)
 ダブル世界戦が行われ、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24)=大橋=は同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)に3回KO勝ちし、5度目の防衛に成功した。練習を始めて間もない左構えを見せるなど余裕の圧勝劇。9月に米国進出することを明かした。
  ◇  ◇
 【長谷川穂積の拳心論】
 「井上尚弥」というボクサーは、ボクシング界の枠を超えた存在になった。ボクシングを知らない人に「スゲーな」と思わせる。今までこんなボクサーはいなかったし、たぶん今後100年は出てこない。そんなスターと同じ時代に生きる者として一人でも多くの人に彼を見てほしい。そう思える試合だった。
 驚くようなセンスを象徴するのが、この日見せたスイッチだ。通常は空気を変えたり、目くらまし的に使ったりする。しかし、井上君の場合は左でも相手を圧倒しており、もはやスイッチとは呼べない。プロ野球の日本ハム・大谷選手のように今日は投手、今日は野手と使い分けられるレベルだ。これでさらに可能性が広がった。
 米国進出は彼にとってはスタートライン。その先のビッグマッチが本当の勝負になる。100年に一人のボクサーは、300年に一人のボクサーかもしれない。僕らが行かなかった場所へ、同じ時代に生きる日本人ボクサーが連れて行ってくれるのはうれしい。みんなの思いを背負って戦ってくれると思う。
 一方、八重樫君の敗戦は、体が温まる前にいいパンチをもらってしまう“交通事故”のようなものだった。よほど力の差がない限り、リングに上がれば可能性は50%、50%。この日は向こうに流れが行っていた。
 今後続けるかどうかは彼が家族と話し合って決めること。ただ、続けるならどこに目標を置くか、ゴールを決めて向かってほしい。1、2年休んでもいいし、焦ることはない。僕も一緒にご飯を食べながら、話をしてみたいと思っている。

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