2017年5月23日火曜日

悔いがないといえばうそになる

岩手日報 2017年5月21日(月曜日)1面
八重樫が王座陥落
1回TKO負け
IBFライトフライ級
  【東京支社】国際ボクシング連盟(IBF)世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦は21日、東京・有明コロシアムで行われ、北上市出身のチャンピオン八重樫東(34)=大橋、黒沢尻工高-拓大=は、挑戦者で同級暫定王者のミーラン・メリンド(29)フィリピン=1回2分45秒TKOで敗、3度目の防衛に失敗した。2015年12月に3階級制覇を達成して、以来、1年5か月守った王座から陥落した。
 【詳報13面、関連記事29面】 試合開始後は互いに遠めから打ち合う展開だったが、メリンドの左フックがこめかみに入り、八重樫は1回で最初のダウンを奪われた。その後も暫定王者は手を休めず、八重樫がこの回3度目のダウンを喫したところでレフェリーが試合を止めた。
 敗れた八重樫の戦績は31敬25勝(13KO)6敗。八重樫は11年にWBAミニマム級を制し、県人初の世界王者になった。13年4月にWBCフライ級王座を獲得。15年12月にIBFライトフライ級王者に就き3階級制覇を達成した。昨年12月には2度目の防衛に成功していた。

岩手日報 2017年5月21日(月曜日)13面
ボクシングダブル世界戦
八重樫見せ場なく
IBF世界ライトフライ級統一戦完敗、わずか2分45秒
【東京支社】ボクシングのダブル世界戦が21日、東京・有明コロシアムで行われ、国際ボクシング連盟IBF)ライトフライ級王者の八重樫東(大橋、黒沢尻工高-拓大)は暫定王者ミラン・メリンド(フィリピン)との続一戦に1回2分45秒でTKO負けし、3度目の防衛に失敗した。同級の世界戦で最短KOタイムとなった。
 八重樫はメリンドの速攻で3度、ダウンを喫した。34歳の八重樫は31戦25勝(13KO)6敗、29歳のメリンドは38鞍36勝(13KO)2敗。

 【評】八重樫は何もできず、1回TKO負けした。左フックで尻もちをつかされて最初のダウン。メリンドのパンチの速さに対応できず、左アッパーを食らって倒れた。何とか立ち上がってもダメージは顕著で動きは鈍いまま。ワンツーを浴びて3度目のダウンを喫してレフェリーが止めた。
 メリンドは踏み込みが鋭く、角度のある打撃が光った。

 約1年5ヵ月間守り続けた王者のベルトを、その腰に三度巻くことはてきなかった。

 試合当日朝、自身のブログに「懸命悔いなく」と書き込み、臨んだ1戦「命を懸けて常に戦っているので…悔いがないといえばうそになる」。悔しさをかみ殺すように言葉を絞り出すと、報道陣から進退についての質問を「どうするんですかねー」とはぐらかし控室に戻った。


岩手日報 2017年5月21日(月曜日)29面
会場全体言葉失う
【東京支社】まさかの幕切れに会場全体が言葉を失った。東京・有明コロシアムで行われた国際ボクシング連盟(IBF)ライトフ
ライ級の王座統一戦で、北上市出身の八重樫東選手(34)は1ラウンドTKO負けを喫した。強打に耐え反撃に出る姿をファンに見せられなかったが、血のにじむ苦労で3階級制覇を成し遂げてきた不屈のファイターに、温かい拍手が送られた。【本記1面】
 「アキラ、アキラ」。試合前、強敵の暫定王者を前に、いつに増して緊張感を醸し出す八重樫選手を、地元の約80人を含む約300人の応援団が勇気づけた。
 ところが試合開始直後、強打でダウン。その後も立て続けにパンチを浴び3度目のダウンを喫すると、会場は沈黙に包まれた。
 2度防衛した王者の八重樫選手。父昌孝さん(69)は「勝負の世界は毎回勝てるわけではない。いつもぎりぎりの状態だったと思う」と心境を推し量った。 高校時代に八重樫選手を指導した辰柳祐司さん(54)=黒沢尻工高ボクシング部監督=は、再会した際はいつもいっも淡々としていた。「決して言い訳をせず、不安や弱音を□にしない。だが、実は体調の問題もあったかちしれない」と戦いぶりを分析した。 高校の後輩で、試合を見守った小原注太選手(30)も「相手は切れがあった。いいパンチを食らい、踏ん張りが利かなくなったのてはないか」と、挑戦者の実力を認めた。
 試合後、八重樫選手は今後の競技人生について継続か否かは言及しなかった。ファンの神奈川県藤沢市の団体職員松本秀樹さん(56)は「打たれても倒れても、愚直に努力を続ける姿に勇気をもらってきた」と再起を期待。地元後援会事務局長を務める阿部和憲さん(51)は「ゆっくり休み、今後のことはじっくり考えてほしい」といたわった。

画面へ懸命のエール
古里北上住民ら観戦
 八重樫東選手の古里北上市では、住民が同市芳町の黒沢尻第7区会館でテレビ観戦した。試合は1ラウンドで敗れるまさかの展開。
ダウンを喫するたびため息が顔れたが、試合後はねぎらいの言葉が送られた。
 後接合の会員ら住民約30人が駆け付け試合前、「フレー、フレー」と画面に向けエールを送った。
 試合は開始直後から防戦を強いられ、1ラウンド3度目のダウンでTKO負けを喫すると「頑張った」「ありがとう」との声が飛んだ。
最後には全員で「サンキュー、サンキュー、アキラ」とたたえた。
 八重樫選手の黒沢尻工高の先輩で、高校野球の指導者としても活躍した城沢謙吉後援会長(78)は「1ラウンド負けとは夢にも思わず非常に残念。相手が強かった」と侮しがリ「3階級制覇の実績は被災地の皆さんや県民に勇気と希望を与えてくれた」と、これまでの活躍に感謝した。


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