2017年5月23日火曜日

まだ大きなヤマがあった

岩手日日 2017年5月22日(月曜日)1面
八重樫、1回TKO負け IBF統一戦
 【東京】国際ボクシング連盟(IBF)ライトフライ級王座統一戦は21日、東京・有明コロシアムで行われ、北上市出身の正規王者八重樫東(大橋)は暫定王者のミラン・メリンド (フィリピン)に1回2分45秒でTKO負けし、王座を統一できずに3度目の防衛に失敗した。通算戦績は25勝(13KO)6敗。【8、15面に関連】
 八重樫はテンプルヘの左フックで最初のダウン。さらに左アッパーで2度目のダウンを奪われ、ぼうぜんと立ち上がったが、最後は右ストレ-トで顔面を捉えられ力尽きた。
 「最初の左フック以降はうろ覚え。力のなさが出た試合で、技術に差があった」と八重樫は完敗を認め、引退については「ニーズがあり、奮い立たせるものが自分の中に見つかれば続ける」と明言しなかった。

八重樫、衝撃的な惨敗
  再び競技人生の岐路に
 衝撃が走った。歴戦の八里程が2度、3度とキャンバスに沈む。3度目の防衛戦は暫定王者との統一戦。相手の王座を吸収するべく臨んだ戦いは、3分もたたないうちに終わった。
 コンディションは「さほど悪くなかった」。しかし、立ち上がりに左右のフックを浴び最初のダウン。これで「ほぼ決まったんじゃないか」と振り返ったように、ダメージは深かった。
 立ち上がっても相手のねじ込むような左アッパーと、ワンツーできれいに放たれた右ストレートを浴びて立て続けに倒された。「何ラウンドで終わったのか分からなかった」と言うほど記憶は飛んでいた。「受け止めなければいけない。自分の力のなさが出た試合」と声を絞り出した。
 「いろんなヤマを越えてきて、まだ大きなヤマがあったんだな」と痛感する。34歳の年齢はボクサーにとって若くない。
 「自分自身を奮い立たせるものが自分の中に残っていればきっと立ち上がるだろうし、『もういいかな』となってスパッとやめるかもしれない」と気持ちは揺れる。引退の危機から3階級制覇を遂げた名ボクサーが、再び競技人生の岐路に立った。

ファンぼうぜん
八重樫選手に今後もエール
【東京】東京・有明コロシアムで21日に行われた国際ボクシング連盟(IBF)ライトフライ級王座統一戦で、北上市出身の正規王者八重樫東選手(34)=大橋ジム=は1I回、よものTKO負けを喫し。あまりに早い幕切れ応援席は静寂に包まれ
たが、ファンからは今後変わらぬ応援を誓う声が聞かれた。
 3度目の防衛戦には、選手後援会が恒例の観戦ツアーを企画。地元北上や後援会東京支部の会員、同ジムに近くゆかりのある横浜市瀬谷区の応援団など270入以上が駆け付けた。入場から「アキラ」コールで後押ししたが、試合開始から早々にダウンを奪われ苦しい展開。3度マットに沈んだところで、TKO負けし、目頭を押さえるファンの姿も見られた。
 欠かさずに訪れている村井好司さん(69)=北上市川岸=は「体と気力の整合がうまく取れなかったのでは。もう一度頑張るというならまた応援する」、後援会の小泉敏夫東京支部長(68)は「燃え尽き
る間もなく訳が分からず終わってしまった。これからを見守りたい」と話した。
 八重樫選手が卒業した県立黒沢尻工業高校ボクシング部の辰柳祐司監督(54)は「最初にダウンさせられた左フックが効いていた。『1回はもってくれ』と思ったが」とうつむきながらも、「東も含めて、頑張るという伝統を生徒にしっかり伝えたい」と懸命に立ち上がる姿をたたえた。
 八重樫選手の父昌孝さん(69)は「やはり勝負の世界。一番悔しいのは本人だろうが、たくさん応援を頂けてありかたい」と敗戦を素直に受け止めていた。

残念、でもサンキュー
地元から「アキラ」コール
【北上】八重樫東選手の地元北上市では21日、後援会員や住民が同市芳町の黒沢尻第7区会館に集まり八重樫選手の王座統一戦をテレビ中継で観戦。無念の1回TKO負けに[まさか」「残念」の声が上がったが、試合後は全員で健闘をたたえた。
 八重樫選手の実家のある黒沢尻7区の住民を主体に組織する「29日会」が応援会を企画。約30人が集まり、試合開始前には「アキラ」コールで盛り上がった。
 試合が始まると「行け上などと応援したが、いきなりダウンを奪われまさかのI回敗退。沈んだ雰囲気になったものの、最後に「サンキュー、サンキューアキラ」コールで八重樫選手に拍手を送った。
 城澤謙吉後援会長(78)は「相手が強かった。苦戦するとは思っていたが、まさか1回でダウンとは夢にも思わなかった。非常に残念」と会員の思いを代弁。一方で 「3階級制覇し、防衛戦にも2回勝った。地元岩手の皆さんに勇気と希望を与えたと思う。彼がどういう道を選ぶか、動向を見守っていきたい」とねぎらった。
 29日会会長の高橋市一さん(63)は「負けるとは思わなかっただけに、本当に残念。今後、どういう道に進むにせよ会として(八重樫選手を)応援していきたい」と語った。

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