2016年12月26日月曜日

有明の年末世界戦

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猫ボク 2016.12.26
年末世界戦~有明 井上×河野、八重樫×サマートレック

 年末ラインナップの人気投票で、内山×コラレスに次いで2位となった井上×河野。試合予想アンケート(投票感謝!)では井上が圧倒優勢でありながら、興味を持った人が多いということ。その予想どおり井上がワンサイドで試合を進めるのか、それとも河野が意地を見せるのか。
 互いに挑発合戦をしていたわけでも、ライバル視していたわけでもない同階級の王者同士だった両者だけに、半ば唐突に持ち上がった感じはあるが、相手に困っていた井上のマッチメイクとしてみれば興味深い。スピード、キレ、コンビネーションなどスキルで勝る井上は、挑戦者に見せ場を作らせず終わらせる力がある。河野がむやみに突っ込めば回り込んでのジャブ、フック。ワンツーに真っすぐ下がれば左アッパーの追撃もあるだろう。ただ、どうなるか分からないのが生身の戦い。慢性的に壊れやすい拳が王者の不安要素でもあるが、その対策として本人が「拳を壊さない」空手家を例に出し、素手でサンドバッグを殴る強化をしたと言っていて、正直これは意外、というか旧時代的な発想。空手家はそもそも頭蓋骨を殴らないので突き自体がボクシングのパンチとまったく違い、パンチを打った際の力を逃がすことを意識していない。僕自身、拳を壊したのはMMAに挑んで打ち方が変わったからだったのだが、おかげでそのことを学ぶいい機会になった。サンドバッグを素手で打ち続けても手首の強化にはなるが、拳の骨が折れにくくなる効果はほとんど期待できないと思う。現役の一流選手にアドバイスできるような立場にないことは重々承知だが、井上ほどの選手であれば、そんな方策よりもパンチ自体の方法論で解決するべきではないか。たとえばガードの上からでも効かせるパンチをよく打っていたりするのは、少々無理した強引な攻撃で、諸刃の剣であるように見える。過去、勇猛に有力選手を沈めてきた井上だが、スタイルの進化が求められているのではないか。


 八重樫は肩の治療で9月予定の試合をキャンセルしての防衛戦。その分、フィジカル強化をして試合に臨む。前回の防衛戦は格下相手にもかかわらず大苦戦だった。王座獲得の際は得意の打ち合いと、本来の出入りをうまくミックスさせた進化を見せたばかりだったのに、それが逆の中途半端な動きになって、相手パンチへの反応も悪かった。不調でも八重樫ほどのキャリアであればヒット&アウェイで抜けることも可能だったように思えたが、陣営からの「激闘で」という指示で挑戦者と下手な打ち合いをしてしまったのもマイナスだった。あの試合後、本人が「僕はこういう戦い方しか見せられません」と言っていたが、これは同調できない。八重樫の能力はもっと高い。今回は出来・不出来より、その持てる力をスムーズに出す試合を求めたい。相手は当初、暫定王者メリンドだったが負傷により、本来ミニマム級のサマートレックに。小柄だが強いフックで迫るタイプで、打たれ強い。井上には連打で効かされ早々に苦しい状況に陥っていた。わりと分かりやすいタイプなのだから、チャンピオンは「激闘への期待」にこだわらずキッチリ攻略してほしい。
 予想アンケートでは、112-13(ドロー4)で当然、防衛が順当。「相手はなかなか粘るも。後半に心が折れダウン。 八重樫の後半KOと予想します」(志那虎恭兵さん)、「そこそこのフットワークと手数で八重樫が終盤まで攻勢を印象付ける展開」(浪速のドサ拳さん)など。
 
 アンダーカードは、村田が「世界タイトル前哨戦」として出場するが、目指すWBO王者サンダースへの挑戦は、ほか指名挑戦者カネロの存在も出てきて不透明に。今回の相手は19勝(15KO)1敗1分の25歳、サンドバル。12年にWBC米国王者となって3度防衛。今年6月、Sミドル級でのWBCラテン王座決定戦は16勝1敗のメキシカンとドローだった。村田の勝利は堅そうだが、世界挑戦のチャンスを待ちながら、そういう試合を続けるだけだと期待感が維持できるかどうか。ぜひ村田を!と海外から声がかかるには、「日本ではビッグネーム」の域を超える実績が必要になってくるかもしれない。
 ほか、同じメダリストの清水はプロ2戦目で、6勝(1KO)3敗のフィリピン人と試合。相手のデメシーリョは20歳の若い選手で、10月に2階級上の天笠尚に判定負けしている。松本は5月に持病による体調不良で負けた相手との再戦。14年に決定戦で獲得した東洋王座を防衛戦なく返上、ノンタイトル戦を続けていたが、8勝5敗1分の6回戦ボクサーにまさかの5回TKO負けとなった。相手ロペスは9月に6回戦で勝利しているが、そもそもA級選手でもなかったからかノーランカーのまま。正常な状態でやれば勝てる試合だろう。原は高山勝成との世界挑戦から再起2戦目で、昨年の日本挑戦失敗から再起2戦目の山本と対戦。井上ファミリー、浩樹は6戦目にして初の日本人相手の試合を行なう。宇佐美は14勝(11KO)2敗1分、14年に東洋王座挑戦経験(ライト級・中谷正義に敗北)がある。


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