2016年1月20日水曜日

未知の選手と戦う不安や楽しみ、常に挑戦者で

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BOXING動画配信局 2016/01/19
不屈の八重樫東
23勝12KO5敗
3階級制覇の世界王者として完全無欠な戦績ではない。
敗戦も多く経験してきた。
3人も日本人世界王者が君臨するこの階級でそれでも彼に加担してしまうのは、ボクサーとしての矜持、その姿勢からだろう。
はじめて八重樫を見た時はアマチュア出身らしいキビキビした有望な若手。
ただそれだけだった。
わずか7戦目でイーグルとの世界戦に敗れた時
その後、帝拳の辻にも敗れ
まだたいした選手じゃないんだ、世界は厳しい、最短なんてそんな甘いものじゃない。
と感じただけだった。
その後、ポンサワンとの激闘を経て世界王者にはなったが、次にいきなり井岡との統一戦に敗れ(互角にみえたが)
際立った王者にはなれなかったし、なんといってもイーグル戦の完敗の印象は拭えず個人的な評価は低いままだった。
激闘王として派手な試合が多く
驚嘆すべきセンスや能力は随所にみせつつも
ロマン・ゴンザレスから逃げずに玉砕しても
正規王者からきちんと3階級制覇しつつも
やはり超一流の世界王者としての評価は下せないままだ。
同じジムのスーパーボクサー井上や若手ホープたち
ミーハーがチヤホヤする井岡
大学の先輩であるという内山
八重樫は図らずも常に自身より華のある存在の影に隠れ汚れ役を買わざるをえない立場にあった。
ボコボコに殴られ、挫折も数多く味わった八重樫はロマゴン戦にしても大橋会長の言う記録のための4階級制覇を目指すにしても
大事な若手ホープのための特攻隊長、踏み台、捨て駒のような扱いで常に厳しい戦いを強いられているとおもう。
けれど、そんな八重樫だからこそ味わい深いものがある。
ボクサーとしての経験、人間的な熟成は、もはや鏡のような存在だ。

―勝利後、「3階級制覇は“おまけ”」と言ってましたが、その気持ちは今も変わりませんか?
八重樫 そうですね。変わらないです。自分の中では、おまけです。
―3階級制覇は日本人としては3人目、世界では29人目の快挙ですが、それでもおまけ?
八重樫 そうなんですか? へえー。ただ、今は階級も団体も多いんで以前とは比較できませんし、もちろん軽んじてるわけじゃ全くないですけど、そこばかりを言うと薄っぺらくなっちゃう気がして。なんて言うんだろう、これで「一線に復帰できた」というか。ただそれだけのことですよね。…
勝負の世界に身を置いているので、何階級制覇しようが次戦は防衛戦なわけで、あんまり関係ないのかなって。
―なるほど。
八重樫 一昨年、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)戦も3階級制覇をかけた一戦だったのに、正直な話、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)戦よりもモチベーションを見出せなかったんです。それも敗因のひとつで。その時、気づいたんですよね。結局、“誰とやるか”なんだって。自分でも気づいてなかったですけど、僕は記録よりも誰とやるかに重きを置いていたんだなって。
―では、気は早いですが次戦の対戦相手の希望はありますか? ライトフライ級は八重樫選手を含め、主要4団体のうち3つが日本人の王者です。
八重樫 WBA王者の田口良一選手もWBC王者の木村悠選手も強いです。ただ、未知の選手と戦う不安や楽しみというか、やはりWBO王者のドニー・ニエテス(フィリピン)とやってみたいという思いはありますね。
自分の選手生命、ホントあと少しなんで。1本1本にこだわっていきたいというか。残りわずかな競技人生にどれくらいのものを詰め込めるか、残りわずかな時間の中、気持ちとしては常に挑戦者でいたいって思いがどこかしらあるんですよね。
結局、“誰とやるか”


これぞ、ボクサーの神髄だ。
彼に残されたボクサー人生はもう長くはない。あと1敗がボクサー生命終わりの綱渡りの日々だ。
そんな立場に身を置き、この境地に達した彼を尊敬したい。
八重樫には未だ修正、成長の余地がある。
井上ほどではなくても相手と差をみせて涼しく勝てるだけの能力を感じるのにダメージの残る激闘になってしまう。
とにもかくにも「一線に復帰でき」て
本当におめでとうございます。
さらなる強敵に挑む進化した彼をみれるのは幸せです。

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