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村木田一歩“リングサイドコラム”  2018年8月18日 (土)
後楽園ホール・8月17日
昨日5時15分頃にホールに着いたら、
入口左にあるチケットスタンドのシャッターが下りてて、
「本日のチケットは全て完売しました。」 って貼り紙があって久し振りのことで、
やっぱり八重樫東さんの人気は絶大なんだよね。
いつものように、何人かの業界人と言葉を交わして始まり始まり……。
① 小林秀己君(大翔)×三木田淳君(横浜光)……W 4R
デビュー戦のサウスポー、28歳・新潟県と、
デビュー戦のサウスポー、?歳・神奈川県。
大翔ジムっていうのは嶋田雄大さんが会長を代行してる新潟のジムなんだってね。
<1R>
小林君のイケメン度は半端じゃなくて、
これで強かったらスター・ボクサー間違いないんだけど、
世の中はそれ程甘くはなくて、あれよあれよって感じで攻められまくって、
開始ほぼ即の25秒、三木田君の左フックをまともに貰ってしまってあえなくダウン。
北西ポスト近くの西ロープ前で倒された小林君、
それ程のダメージを引きずることなく何とか立ち上がってリスタートはしたんだけど、
元々腰高過ぎるし、殴るのに夢中になってディフェンスも疎かになってたし、
肝心のパンチもストロークが大きいもんで打数を稼げないハンデも抱えてて、
結構頑張ってはいたんだけど、残り40秒からはいきなり時間の問題になってしまって、
結局、2分47秒、三木田君のクールな連続攻め込みの前に力尽きてしまって、
ダウンを喰らったところからほど遠くない西ロープ前でストップエンドだったんだわ。
② 森且貴君(大橋)×市原明君(S&K)……48㎏ 4R
デビュー戦の18歳・神奈川県と、1勝(1KO)0敗の21歳・熊本県。
森君には井上さん兄弟がヘルプセコンドに入ってて、
それはつまり森君がジム期待のデビュー・ボクサーってことで……。
<1R>
初っ端勢いよく仕掛けていったのは相手の市原君の方だったんだけど、
森君も出遅れることなくの即の対応でいきなりの打撃戦が始まったんだわ。
第1試合がW級だったもんで、リング上のスピード感が尋常じゃなくて、
12倍ほどは早いやり取りが展開されたんだけど、
森君が相手の動きを冷静に見極めてた一方、
市原君はちょっと無暗に突っ込み過ぎのところを合わせ打たれてたし、
打ち終わりが雑になるとこを狙い打たれることも多かったんだわ。
時間が進み二人の力量差が如実になるにつれ、
森君からはスピードと共に圧倒的な重量感さえ感じられて、
一気に形勢が傾いていった1分35秒、
素早い連続攻撃から最後は左フックを打ち込んで市原君からダウンゲット。
リスタートした市原君もメゲルことなく立て直して、懸命の反撃を見せてたんだけど、
森君の攻撃の勢いがそれを大きく凌駕したままだった2分16秒、
雨あられのような打ち分けに反撃が止まったところでレフェリー・ストップエンド。
③ 中澤奨君(大橋)×アーマド・何チャラ……Fe 8R
10勝(4KO)2敗(1KO)の25歳・大阪府と、
6勝(3KO)5敗1分の?歳・インドネシア。
手軽な相手に中澤君が3RでTKO勝ちしたんだけど、
やっぱり中澤君の戦い方は改善されてなくて、
パンチを緩急で打つとかコンビネーションを駆使するとか、
攻撃の際の工夫が見られないまま、ひたすら一本調子で雑に振り込むだけで、
それ程の倒し屋でもないのにドッカン一発を狙い過ぎのままだったなあ。
④ 中嶋一輝君(大橋)×藤岡拓弥君(VADY)……B8R
4勝(3KO)0敗のサウスポー、25歳・奈良県と、
8勝(1KO)8敗1分の25歳・兵庫県。
青コーナーは余りいい印象を持ってないジムだったもんで、
それはもう中嶋君応援しかなかったんだけどね。
二人の戦績差からして好勝負にはなりそうになかったんだけどね。
<1R>
中嶋君は上背もあってリーチも充分の上に構えが大きいもんで、
藤岡君としては遠いところでの勝負は諦めざるを得なくて、
やたら潜り込みたがって、突っ込みざまに1発打っては抱き付くか、
頭を下げて取り付いたところでの左右ボディフックしか攻めようが無かったんだわ。
<2R>
状況は全く変わらなくて、藤岡君の気後れ感は手に取れるようで、
8回まではとても無理そうだったし、ちょっとどうにもなりそうになくて、
10回戦っても1度も勝てそうにないほどのミスマッチだったんだわ。
ってことで自分はここで退席したんだけど、
何となんとナント、6Rまで掛かってしまったってことで、
途中一度も見てなかったんだけど、3Rまでだなって思ってたもんで、
そうなると中嶋君の不手際としか思えなかったんだけどね。
⑤ 溜田剛士さん(大橋)×アリエフ・何チャラ……58㎏ 8R
17勝(15KO)3敗(1KO)2分のランク12位、24歳・長野県と、
30勝(12KO)29敗1分の?歳・インドネシア。
リングインの様子だけしか見てなかったんだけど、
溜田さんのイデタチは黄色い縁取りのある黒いトランクスとシューズで、
それに黄色のハイソックスがとっても素敵だったんだよね。
結局、溜田さんは2RにKO勝ちして、キッチリ仕事をしたんだよね。
⑥ 清水聡さん(大橋)×河村真吾君(堺東ミツキ)
              ………OPBF Fe タイトル戦 12R
6勝(6KO)0敗のチャンピオン、サウスポー、32歳・岡山県と、
15勝(8KO)4敗(2KO)1分のOPBF10位、サウスポー、28歳・大阪府。
<1R>
上背とフレームで圧してた清水さんはいつものようにユッタリした立ち上がりで、
取り敢えず相手の出方を見極めるって感じだったんだけど、
一方の河村君の方が積極的に仕掛けていったんだわ。
若干受け身で発進した清水さんは、
ラウンド終了までに4発の左ストレートの相打ちを経て、右顔面を赤くしてたなあ。
ラウンド終盤に掛けては清水さんの逆襲が目立ってたんだけど、
全体を思い返してみれば河村君のヒッティングの方が上回ってたんだよね。
<2R>
清水さんはまだまだアイドリング状態のようだったんだけど、
河村君の方は実に戦闘的だったし既にフルスロットルで、
清水さんも安易に相手に合わせてると危険度が高かったんだわ。
その清水さんに遠目にジャブから組み立てられると河村君としてはツライ訳で、
ただ、距離を詰めると実はもっと辛くなるわけで、
清水さんの近距離戦の巧さは度を超えてるんだよね。
河村君も懸命な打ち返しではあったんだけど、
その前後では清水さんに徹底的に打ち込まれてたんだわ。
清水さんは腰高にスッと立ったままからの実に軽い腕振りなんだけど、
そのパンチ力はそれこそ尋常じゃなくて、
力んでないもんでコンビネーションが実にスムースかつ軽やかで、
右のクロスから左ストレートなんかも自由自在で、
ラウンド終了ゴングが鳴る頃には河村君の顔面はかなり傷んできて、
鼻血を出しながら何度も何度も頭を跳ね上げられてたんだわ。
<3R>
清水さんは目が細いから表情が読み取り難いんだけど、
相変わらず落ち着いた攻め込みに終始してて、
七色のパンチを上下に打ち込んでたんだわ。
河村君もそこそこの手数を頑張ってたんだけど、
清水さんは上体の動きでそれを交わしたり、見事なブロッキングでもあったんだわ。
気持ちの余裕的には比較にならなくなって、
清水さんは様々なパンチを試し打ってるかのようで結局、
スコア的には10:8.5程もの大差が付いてしまって、
もうそれ程余り長い時間は掛かりそうになかったんだよね。
<4R>
河村君は持ってるモノを既に全部出し切ってしまってたし、
ここに及んで今更隠し玉とか秘策も出てきそうになくて、
もう殆ど一杯一杯のままエンディングはいきなり訪れつつあった1分36秒、
北西ポストに詰めてたのは河村君の方だったんだけど、
その河村君のパンチをことごとく交わしてたその直後、
眼らい澄ましたようなクロス気味の左ショートを当て込んで華麗なダウンゲット。
リスタート後の河村君は最早ヤケクソのような腕振りで、
何とか急場を凌いでたんだけど、顔面の傷みとか歪みは末期的なほどで、
結局は2分43秒にレフェリーストップされたんだけど、
その20秒ほど前には既に回復不能までに消耗してしまってたもんで、
陣営としてはタオル投入してしかるべきだって強く思ったんだよね。
このジムは前日には実に的確なタオル投入だったんだけど、
この日は随分違ってて、あれではボクサーを無駄に傷めてしまうんだわ。
⑦ 八重樫東さん(大橋)×向井寛史さん(六島)……SF 10R
26勝(14KO)6敗(3KO)のWBO12位、35歳・岩手県と、
16勝(6KO)5敗(4KO)3分のWBO14位、サウスポー、32歳・大阪府。
八重樫さんは充分復活してるのか、
ジムとしても本人的にも背水の陣の実に大事な一戦だったんだわ。
相手はまたしてもいい印象を持っていないジムだったもんで、
自分としても何としても八重樫さんに頑張って貰いたかったんだよね。
<1R>
向井さんはジャブから組み立てたキッチリボクシングから始めてたんだけど、
最初のクリーンヒットは開始45秒の八重樫さんのいきなりの左フックだったんだわ。
八重樫さんは足元の不安は全く無いようで、変則的な出入りを繰り返して、
変幻自在のタイミングからの打ち出しで相手を眩惑しつつあったんだよね。
終始プレスは八重樫さんだったんだけど、
残り25秒からは向井さんも意を決したような打ち合いを挑んでいって、
スリルに満ちたほぼ互角の激しいやり取りが続いて、
ここは向井さんがやや優位に終えたんだけど、
ラウンド全体を通して見返せば、八重樫さんが僅差ポイントゲットだったかなあ。
<2R>
八重樫さんはガツガツやってるうちにすぐ顔面が赤く腫れてしまって、
それはいつものことなんだけど、少なくとも相手は気を良くする訳で、
このラウンドは少し落ち着いた向井さんの冷静な攻め込みが目立ってて、
ガードの間の狭いところを狙い打ってたショートブローが実に的確だったんだわ。
このラウンドは向井さんが持って行きそうだった残り57秒、
八重樫さんのまたもやの左フックが直撃して、向井さんを一瞬たじろがせたんだわ。
この日の八重樫さんは左手のヒット率の方が高かったんだよね。
<3R>
お互いの距離が縮まって、試合は接近揉み合い戦に移行していって、
勿論それは八重樫さん得意のパターンなんだけど、
1分03秒での八重樫さんの右フックをきっかけに一気に激化していって、
お互いに引かない引かないの気持ち戦に近くなっていったんだわ。
ただ、左ボディブローに関しては八重樫さんの方がクオリティが高かったし、
そもそも向井さんは距離を封じられてるって感じもあったんだよね。
<4R>
最初の1分半は距離を取ってのチョンチョン打ちで向井さんが征してたんだけど、
その向井さんは明らかに八重樫さんの左ボディを嫌がってもいたんだよね。
で、向井さんのガードが低めになりがちだったところに八重樫さんの右がヒットして、
思わず向井さんがヨロけた残り20秒から八重樫さんが一気のラッシュで、
向井さんは為す術もなく下がり下がりしてたんだわ。
<5R>
勢いを得た八重樫さんがまず飛ばしていって、
向井さんもそこそこのコンビネーションを繰り出してたんだけど、
畳み掛ける際の迫力はやっぱり八重樫さんの方が圧倒的で、
向井さんはカウンターのタイミングで打てないことも致命的だったんだわ。
ってことで、ここまでの自分のスコアは49-46で八重樫さんだったんだわ。
<6R>
ただ、いつの間にか八重樫さんの左目上のコブの様な腫れ上がりも目立ってきて、
それはまるで番町皿屋敷のお岩さんのようであって、
八重樫さんのそういう風貌の変化が向井さんに元気と勇気を与えたみたいで、
1分10秒辺りから一気に激反撃していったんだわ。
何発か直撃を喰らった八重樫さんは明らかに効いてしまってて、
いきなり反応も鈍くなったし、腕振り自体も緩慢になってしまったんだわ。
この時は八重樫さんの終焉が間近かと思われるほどの消耗だったんだけど、
残り24秒、八重樫さんの必死の打ち返しの右フックが大直撃、
一発大きく当て込むと急に元気を取り戻すのがボクサーの習性なんだけど、
そこからの八重樫さんは5~6秒前の彼とは全くの別人になっていって、
立場が一気に逆転してしまった向井さんは凌ぐので一杯一杯になってしまって、
辛うじてラウンド終了ゴングに救われてたんだよね。
実はこのラウンドで八重樫さんが大きく追い込まれてしまったその途端、
北席の40代の男性がいきなり倒れてしまっての担架搬出で、
酒飲んで大声上げまくって酸欠になったか血圧が上がってしまったみたいで、
一番いいところを見ないままに彼は救急車に乗せられてしまったんだよね。
<7R>
インターバルの様子や開始ゴング直後の向井さんを見てたら、
前の回のダメージが抜け切っていないみたいで、
何だか休み休みだったし、試合当初のように強く打ててもなくて、
そんならってことで、八重樫さんが見計らったように一気に攻め立てていったんだわ。
で、八重樫さんが優勢なままの1分48秒、
その右ストレートが激しくヒットして向井さんがロープまで飛ばされて、
そこから向井さんが更に劣化してしまって、
相手の様子を確認しながら八重樫さんがいよいよの仕上げ作業に入っていって、
東南ポスト近くの東ロープ前、最後は右フックだったんだけど、
強烈に打ち放って向井さんが横向きにロープに飛ばされたところでストップエンド。
試合後の八重樫さんはまるで負けボクサーのように顔面が傷んでたんだけど、
それもいつものことで、その過激なエンディングに周囲も大騒ぎで、
自分も思わず横に座ってた瀬端さんと古澤さん、有澤会長それに、
三迫会長と久保マネ達とグータッチしてしまったんだよね。
それにしても八重樫さんのフィジカルの強さには驚かされたし、
一旦大きく窮地に追い込まれてしまったにも関わらず、
きっかけを掴んだところからの大逆転で、この人の神経の太さは尋常じゃないんだわ。
【本日のベスト3ボクサー】
① 八重樫東さん
② 清水聡さん
③ 森且貴君

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