日々精進

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サンスポ　2016.12.30 20:03
八重樫、ＴＫＯ勝ちでＶ２　「まだまだ未熟な者。日々精進していく」／ＢＯＸ

プロボクシング・ＩＢＦ世界Ｌフライ級タイトルマッチ（３０日、東京・有明コロシアム）　王者・八重樫東（３３）＝大橋＝が、挑戦者サマートレック・ゴーキャットジム（３２）＝タイ＝に１２回２分１３秒、ＴＫＯ勝ち。２度目の防衛に成功した。
　５月のＶ１戦前に左肩を負傷し、約８カ月ぶりの試合でも、八重樫はブランクを感じさせなかった。最終１２回にラッシュをかけると、レフェリーが割って入り、試合をとめた。
　２７日の予備検診では前回よりも身長が１・３センチも縮み、１５９・５センチだった。世界戦で自分よりも小柄な選手と戦うのは初めてで、「メリットかデメリットか、ふたを開けてみないと分からない」と慎重な姿勢だったが、その心配は杞憂に終わった。
　芸能事務所プラチナプロダクションと専属マネジメント契約を結ぶなどボクシング界以外からも注目を集めている。円熟味を増す激闘王が、己の拳で歴史を刻んでいく。
　試合後は子供３人をリングに上げ、「もっと早く詰められたけど、やりにくかった。しっかり倒せてよかった。この子たちと丸１カ月離れていたのでうれしい。まだまだ未熟な者。日々精進していく」と謙虚に語った。

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サンスポ　2016.12.31 05:00
サンケイスポーツ評論家矢尾板貞雄
井上尚弥の思考をみていると爽快感
　プロボクシング・ダブル世界タイトルマッチ（３０日、東京・有明コロシアム）攻撃の糸口を探すのに苦労する選手は、あまたいる。だが、井上の思考をみていると、ある種の爽快感が伝わってくる。
　頭をつけての接近戦が得意な河野は右フック、左アッパー、さらに右を返して攻めてくる。そこで、井上は攻防が成り立たないと判断すると、あっさり後方へ後退。左ジャブから組み立てを再構築する。可能性を探るよりも、すべてを白紙に戻す判断だ。
　左右のショート・アッパーや、左フックをダブルで繰り出し、パターンを変える。相手の想定を超えることで、パンチがヒットするのだ。その左フックは急激に進歩した。国内の選手は左腕を自らの右肩のほうに引っ張り、体を左へ流してしまう傾向が強い。ところが、井上は左足で踏ん張り、一気に腰を回転させて打つ。１９８０年代、強打のメキシコ人ボクサーがよくみせた鋭角の軌道は最近では珍しい。
　八重樫は豊富な経験が安全策に走らせた。ベテランになるとパンチを交換する危険ゾーンが体に染みつき、果敢な一撃にブレーキがかかる。相手を支配していたから、もっと早い決着シーンがみたかった。　

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サンスポ　2016.12.31 05:04(2/3ページ)
八重樫Ｖ２！誕生日の彩夫人に捧げた１２回ＴＫＯ／ＢＯＸ

最後の最後で、“激闘王”の八重樫が本領を発揮した。１２回。サマートレックをロープ際まで追い込み、連打を浴びせて、レフェリーストップ。１回からリングサイドで「お父ちゃん、ガンバレ」と声援を送り続けた３人の子供たちの期待に応えるＴＫＯ勝ちだ。
　「もっと早くつめたかったけど、やりにくかった。最後に（陣営から）ゴーサインが出たので、倒せてよかった」
　試合後のリングで、長男・圭太郎くん（１１）、長女・志のぶちゃん（６）、次女・一永（ひとえ）ちゃん（３）から「お父ちゃん、格好いい」と声をかけられて、喜びに浸った。
　しかも、この日は夫人の彩さんの３３歳の誕生日。一昨年はＷＢＣ世界同級王座決定戦で７回ＫＯ負けを喫し、３階級制覇に失敗した。２年遅れで最高の誕生日プレゼントを贈った。
　５月のＶ１戦前に「左肩甲下筋損傷で全治３カ月」と診断された。ベルトを死守した後、予定された９月の試合をキャンセルし治療に専念していた。
　リハビリはさらなるパワーアップの源となった。一日３００回の腕立て伏せをはじめ、懸垂、逆立ちなどで、筋肉のよろいを作り上げた。「筋肉が増えたので、左のパンチも強くなっている」と想定以上の効果を実感。Ｖ２は当然の結果だった。
　次戦は、同級暫定王者のミラン・メリンド（２８）＝フィリピン＝との王座統一戦。ＩＢＦから９０日以内に対戦するよう命じられている。
　「まだまだ未熟。これからも日々精進を続けていく」。プロ・アマ通算１００試合目を最高の形で締めくくった強いお父ちゃんは進化を続ける。
八重樫に敗れたサマートレック・ゴーキャットジム
「八重樫が力強く、スピードがあったことは認めざるを得ない」
八重樫　東（やえがし・あきら）
　１９８３（昭和５８）年２月２５日生まれ、３３歳。岩手・北上市出身。黒沢尻工高でボクシングを始め、２００５年プロデビュー。０７年にＷＢＣ世界ミニマム級王座に挑戦し判定負け。１１年１０月にＷＢＡ同級王座、１３年４月にＷＢＣ世界フライ級王座を獲得し２階級制覇。１４年１２月に１度王座挑戦に失敗も、昨年１２月にＩＢＦ世界Ｌフライ級王座を獲得し３階級制覇を達成。プロ戦績３０戦２５勝（１３ＫＯ）５敗。右ボクサーファイター。１メートル５９・５。

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サンスポ　2016.12.31 16:04
井上尚「納得いく試合」　八重樫「甘い部分ある」／ＢＯＸ
パーフライ級王者の井上尚弥と国際ボクシング連盟（ＩＢＦ）ライトフライ級王者の八重樫東（ともに大橋）が防衛成功から一夜明けた３１日、横浜市の所属ジムで記者会見し、井上尚は「ケガなくＫＯで勝てた。納得いく試合で２０１６年を締めくくれた」と静かに喜びを語った。
　井上尚は河野公平（ワタナベ）との日本人対決に６回ＴＫＯ勝ちし、４度目の防衛。１７年中にも実現が期待される世界４階級制覇のローマン・ゴンサレス（ニカラグア）戦には「やりたいが向こうのプランもあるので」と慎重だった。
　１２回ＴＫＯで２度目の防衛を果たした八重樫は「甘い部分もあるので修正したい。（顔が腫れず）久しぶりに子どもと初詣に行ける」と、珍しくきれいな顔に笑みを広げた。