2016年12月20日火曜日

一戦に再び死力を

岩手日報 2016.12.20
16いわて
スポーツこの1年 8
八重樫IBF初防衛
年末に再びリングへ

  岩手を背負って立つ「激闘王」が再びリングに帰ってくる。北上市出身で国際ボクシング連盟(IBF)ライトフライ級王者八重樫東(大橋、黒沢尻工高ー拓大)は5月に同級を初防衛。今月30日にIBFミニマム級サマートレック・ゴーキャットジム(タイ)を迎え、2度目の防衛戦に臨む。
 昨年のタイトルマッチは12回の死闘の末、当時王者ハビエル・メンドサ(メキシコ)に3-0で判定勝ち。日本人3人目となる世界3階級制覇を達成した。万を持して臨んだ初防衛戦。そこには思わぬ落とし穴が待っていた。
 順調な調整を続けていたが、試合の約3週間前に左肩を痛めてしまう。左フックのアッパーを打つときに痛みが走る状態。試合には痛み止めを打って臨んだ。
 挑戦者でライトフライ級10位のマルティン・テクアペトラ(メキシコ)は立ち上がりから好戦的だった。八重樫は左ジャブを受け後手に回る場面もあり、所属する大橋ジムの大橋秀行会長は「1回から感覚がずれているな。厳しい結果になるかもしれない」と王座陥落も覚悟したという。
 それでも徐々にペースをつかむ。執拗にボディーを攻めて挑戦者の勢いを止めると、上下にパンチを打ち分け狙い澄ました右カウンター。シャープな動きで内に飛び込み連打で流れを引き寄せると、終盤には「激闘王」の名にふさわしい激しい打ち合いで会場を沸かせた。
 判定は2-1.けがによる影響は色濃かったが、辛くもベルトは守った。「(相手に)くつっくわけでもなく、離れるわけでもなく中途半端だった。心のつくり方が甘かった」。後に試合を振りかえた八重樫は試合へ臨む心のあり方を真っ先に反省した。
 その後左肩の治療に専念し、じっくり調整してきた。現在33歳。年齢を考えれば「自分の残されている(競技人生)時間は長いものではないと思う」と自覚もある。「結局自分が納得できるか、できないか。「終着駅」はある。そこを目指すのは悪いことじゃない」ボクシングと向き合う長い旅を続けるチャンピオンは、年末の一戦に再び死力を尽くす。

井上尚、V4に自信
WBO Sフライ級世界戦へ練習公開
世界ボクシング機構(WBO)スパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)が19日、横浜市内の所属ジムで元世界ボクシング協会(WBA)同級王者河野公平(ワタナベ)との世界戦(30日・有明コロシアム)へ向けた練習を公開し「日本人対決は楽しみ。一方的な展開で勝つイメージ」と4度目の防衛へ自信を見せた。


0 件のコメント:

コメントを投稿