2016年5月19日木曜日

モンスターがボクシングの本当のすごさをみせてくれる

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iza  2016.5.19 11:46
WBOスーパーフライ級井上尚弥が王者の貫禄 世界ランク1位を一蹴した凄さの秘密は…
 5月8日に行われた世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級タイトルマッチで、王者の井上尚弥(大橋)が圧巻の防衛劇を見せつけた。両拳に痛みを抱えながらのリングで、世界ランク1位の挑戦者を寄せ付けずに大差の判定勝ち。期待されたKO決着とはならなかったが、“丸腰”での完勝はモンスターの経歴にさらなる箔を付ける形となった。
 異常が生じていたのは明らかだった。5回に挑戦者のダビド・カルモナ(メキシコ)をサンドバッグ状態にまで追い詰めながら、6回以降に不自然なペースダウン。強打の右はほとんど使うことなく左だけで試合をコントロールし、KOを確信していた場内のファンも戸惑いを隠せなかった。
 直前の世界戦でベルトを守った同門の八重樫東がリング上から観衆を「次に出てくるモンスターがボクシングの本当のすごさをみせてくれる」と煽りに煽った注目の一戦。世界戦で4連続KO中だったこともあり、誰もが首をかしげた慎重さの理由は試合後に明らかになった。
 「2回の途中に右に異常を感じた。早々に試合を終わらせたくて5回はチャンスだと思ったが、詰め切れなかった。6回ぐらいから強く打つのが怖くなり、気が付いたら左もじわじわと痛くなってきた」。武器を取り上げられた格好で、父の真吾トレーナーも「拳が使えないのではアドバイスのしようもない」と頭を抱えてしまった。
 それでも勝ってしまうのだから恐れ入る。しかも「負ける焦りはなかった。ポイントを取って圧倒的に勝つことはできた。左手1本で試合をコントロールし、世界ランク1位との差はみせられた」というコメントが強がりに聞こえない快勝である。
 カルモナのコメントもすごみを加える。完敗を認めた上で「私が偉大なチャンピオンを相手にこれだけの戦いをみせるとは誰も想像していなかっただろう」と満足感すら漂わせつつ、「拳に異常があったとは感じなかった」。ほぼ左手1本の井上尚が与え続けた重圧のほどがうかがい知れる。
 先が見えた最終12回には、「このままでは自分に納得がいかない」と一気に両拳を解き放ってダウンまで奪う。異次元の戦いを繰り広げる姿に、所属ジムの大橋秀行会長も「拳に異常が発生しても最終回にラッシュをかけるのだからただものではない」と舌を巻いた。
 4月27日に日本のエース格だった内山高志(ワタナベ)が王座から陥落し、日本ボクシング界が暗雲に包まれていた中での試合だった。判定決着で“内山ショック”を完全には払拭できず、観衆には「こんなにみっともない試合で期待を裏切りすみませんでした」と頭を下げた。しかし、23歳の絶対王者が次期エースの筆頭候補であることを改めて証明する一戦だったのは間違いない。

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