2016年5月16日月曜日

うまさと激しさを出して競り勝ち

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SPORTOURS  2016/05/08
井上尚弥がV2、右拳痛め世界戦初の判定決着
 有明コロシアムで8日ゴングとなった「ボクシングフェス5.8ダブル世界タイトルマッチ」のメインイベントに登場したWBO世界S・フライ級王者の井上尚弥(大橋)は指名挑戦者ダビド・カルモナ(メキシコ)に3-0判定勝ち。2度目の防衛に防功した。スコアは118-109×2、116-111。井上は世界タイトルマッチ5戦目で初めてKO勝利を逃した。
井上は最終回にダウンを奪って意地を見せた
 昨年暮れの圧巻の初防衛戦から5ヵ月。オープニングでワンツーを放っただけで会場がどっと沸く。さらにワンツーが軽くヒットすると、KOフィニッシュを期待する空気が早くも会場中に充満した。
 しかし、カルモナは簡単に攻略できる挑戦者ではなかった。ハンドスピードがあり、何より井上の強打を恐れず、勇敢にコンビネーションを繰り出し、予想通りディフェンスもよかった。実はこのとき既に右拳に異変の起きていた井上は足を使って距離をキープしながら出入りのスピードで勝負。カルモナのアタックは足とカバーリングで防いだ。
 ボディを狙ったり、少し相手に攻めさせたりしていた井上が山場を作ったのは5回だった。右を決めて好機を作ると一気に畳み掛け、右ストレート、左フックを何発もヒットしたが、カルモナは打たれ強く、果敢に応戦。井上は6回も攻めて出たものの、挑戦者を崩すことはできなかった。
 7回以降、井上は右パンチがめっきり減り、左だけで試合をコントロールしようと試みた。8回にカルモナに攻め込まれると、9回はジャブと左ボディーブロー、フットワークを駆使したボクシングにはっきりとシフト。10回以降、最小限に右を使った井上は、最終回にボディ攻めでカルモナを追い込み、怒涛の連打で攻め込むと、カルモナが自ら膝をついてダウン。しかし残り時間が少なく、立ち上がった挑戦者をKOすることはできなかった。
 試合後、井上は2回に右拳を痛め、6回には強く打てない状態に悪化したこと、さらに左拳も痛めた事実を明かした。これで戦績は10勝8KO。大橋会長によると、3度目の防衛戦は前王者オマール・ナルバエス(亜)との対戦が有力。暫定王座決定戦を含めて3度目の世界挑戦も実らなかったカルモナは17勝6KO2敗4分。

八重樫東が2-1判定勝ち、IBF王座初防衛成功
 IBF世界L・フライ級タイトルマッチが8日、東京・有明コロシアムで行われ、チャンピオンの八重樫東(大橋)が挑戦者11位マルティン・テクアペトラ(メキシコ)に2-1判定勝ち。初防衛に成功した。スコアは115-113、116-113で八重樫、残りが115-113でテクアペトラだった。
八重樫(左)はうまさと激しさを出して競り勝った
 WBAミニマム級、WBCフライ級、そして昨年暮れにIBF・L・フライ級を制して3階級制覇を成し遂げた八重樫の初防衛戦。八重樫は距離を取って慎重な立ち上がりに見えた。2回に挑戦者が右を決めて距離が縮まり、チャンピオンはボディ攻撃で対抗。八重樫は不用意に打ち合いに突入せず、足を使ってよく動きながら試合を組み立てたが、テクアペトラのジャブや右を不用意にもらうシーンも少なからずあった。
 中盤に入っても八重樫は出入りのボクシングを意識し、タイミングを図ってスっと中に入ってボディーブローをまとめるなど、要所で効果的な攻めを見せた。6回には左ボディブローと右のコンビネーションが機能。挑戦者の右ストレートも断続的にヒットし、予断を許さない展開が続いた。
 試合は終盤に進むにつ入れて打ち合うシーンが目立つようになる。標高4000メートルの高地トレーニングで鍛えたテクアペトラはスタミナが自慢。手数で迫る挑戦者に対し、八重樫は連打の回転スピードと相手を押し込むフィジカルの強さで対抗した。
 10回に効果的な右を決めた八重樫は11回に激しく打ち合って会場を盛り上げる。引かずに打ち返すテクアペトラのパンチを浴びる場面も少なくなかったが、おかまいなしに最終回も攻め続けて終了のゴングを聞いた。
 八重樫は24勝12KO5敗。リング上から「最初はいいところを見せようと思ったけど、自分はこういう試合しかできない。実力がないということ。もっと圧倒する試合ができるようにがんばります」とインタビューに答えた。世界初挑戦に敗れたテクアペトラは23勝15KO5敗。

カネロが6回ワンパンチKO、序盤はカーンが善戦
 今年上半期注目のビッグマッチ、王者サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)と挑戦者アミール“キング”カーン(英)のWBC世界ミドル級タイトルマッチが7日(日本時間8日)、米ラスベガスのT-モバイル・アリーナで挙行され、カネロが6回2分37秒KOでカーンを下し、初防衛に成功した。試合はミドル級リミットから5ポンド軽い155ポンド契約で行われた。
カーンをキャンバス送りにするカネロ
 ウェルター級からクラスを上げたカーンを、昨年11月にミゲール・コット(プエルトリコ)に勝利して2階級制覇を達成したカネロが迎えた大一番。スピードで上回るカーンが初回、右ストレートを打ち込んで満員のアリーナを盛り上げる。カーンは体格的に見劣りせず、スピードも落ちていない印象。左右によく動くカーンの前に、カネロのパンチは空を切り、カネロがどう立て直していくかに興味が集まった。
 カネロは圧力を強めてカーンを追い込もうとし、ボディへのパンチも意識し始めたが、カーンが動いて的を絞らせないため、なかなか手数が伸びないもどかしい展開。ペースのつかめないカネロは5回に左フック、6回にジャブを当ててようやく調子を上げてきたかに見えた矢先、劇的なクライマックスがいきなり訪れた。カネロが踏み込んで放った右がカーンのアゴをカウンターで直撃。バッタリと仰向けに倒れたカーンはピクリともせず、主審が即両手を交差した。
 序盤苦しみながらも強打爆発で劇的KO勝ちのカネロは47勝33KO1敗1分。よく仕上げて試合を盛り上げたカーンは31勝19KO4敗。
 WBCは勝者に対し、WBAスーパー&IBF王者でWBC暫定王者ゲンナジー“GGG”ゴロフキン(カザフスタン)との対戦を義務付けている。試合後はゴロフキンがリングイン。インタビューを受けたカネロは「自分がリングに上がれと言ったんだ。私は絶対にGGGを倒して見せる。いまからグローブをつけてもいい」と息巻いた。カネロ陣営はミドル級リミット(160ポンド)より軽いキャッチウエートでの対戦を希望しており、交渉の行方が注目される。
 敗れたカーンは「私はこの大きな挑戦を受けないわけにはいかなかった。今後はナチュラルウェート、147ポンド(ウェルター級)に戻るつもりだ」と話した。

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