2014年12月9日火曜日

殿堂入りの朗報

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リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論 2014-12-09 08:32:32
オリジナル階級とJR(スーパー)階級
大場政夫と具志堅用高のボクシング名誉の殿堂入りのニュースは朗報でした。何よりもアジアでし
か需要が無いと思われていた軽量級の王者でありながら、米国での歴史的評価を確定させたことの意義は大きいでしょう。
さて、私は年代的に具志堅をギリギリ、リアルタイムで観てきた世代であり、その偉大さは自分なりに理解してるつもりです。大場に関しても、文献や映像で後追いしてきました。二人のどちらが凄かったか?偉大であったか?強かったか?ということを論じるのもまた答えの出ない遊びです。単純に数字のみで捕らわれず、また内容の比較でも遜色ないので、最終的には一人一人の好みや感性に結論が委ねられることでしょうね。
ただ、前提条件として上げなければならないのは当時のオリジナル階級とジュニア(スーパー)の呼称がつく新設階級の世界的評価の違いです。作家の安部譲二氏がインタビューでよく仰ってま
したが、今はともかく当時の米国ではジュニア階級の評価は数段落ちていたそうです。アジア偏重になっていた軽量級では尚の事、軽視されており、ましてや具志堅が戴冠した当時のJRフライ級はほとんど新設階級と言っても過言で無かったことを忘れてはなりません。そうアジア以外での国際評価はまだまっさらというか、ゼロだったのです。

まず昭和30~40年代に活躍したフラッシュ・エロルデはJRライト級では屈指の名王者であったにも関わらず、敢えてライト級の世界王者であるカルロス・オルチスに2度挑んではいずれも完敗を喫してます。当時、高度経済成長まっただ中の我が国では世界戦は自国開催もかなり出来ていたこともあり、小林弘、沼田義明、輪島功一などの王者としての資質や個性も相まってそれほど問題視されてませんでしたが、いわゆる発展途上国として経済的に困窮し、世界戦開催を他国に頼らざるをえない場合は本場(米国・欧州)の評価をダイレクトに受けてしまうわけです。そのうえで日本以外のマーケットでオリジナル階級とJR階級の評価格差を痛感してしまったのでしょう。端的に言って「本場では金にならない」と。

そのため、国際的には輪島や藤猛よりも、あの時代のライト級世界王者を5度防衛したガッツ石松の方が上でしたし、柴田国明はJRライトよりもフェザーの世界王者を(しかも敵地であのサルディバルから)奪取したことの方が評価を受けてるわけです。原田もあの時代でフライ、バンタムとオリジナル階級を制覇したのですから、現代に雨後の筍の如く出てきてる二階級制覇王者よりも評価が数段上なのは当然のこと。しかもバンタムから奪取したのはあのジョフレですから。(惨階級は論外w)
70年代も中盤~後半に入ると新設階級が軽量級に出てきます。それがJRフライ級とストロー(ミニマム)級なわけですが、当初はアジアの市場を活性出来ればいいかという程度の認識の王座が評価される様になるには長い年月が必要でした。特に中量級や重量級に特化した米国で評価を受けるには90年代のマイケル・カルバハルまで待たねばなりません。
長らくフライ級が最軽量級としていたなかでのJRフライ級新設でその階級の認識を改めさせたのは具志堅であり、張正九、柳明祐という屈指の名王者たち。そして80年代後半に入るとストロー級が新設されますが、リカルド・ロペスや最近ではローマン・ゴンサレスがこの階級の認識を改めさせられる様な実績を積み重ねてきました。ただ、米国でビッグマッチを出来る選手が輩出されるまではまだ時間を要しそうです。

後にウィルフレッド・ゴメスなどの名王者がJRクラスでも輩出される様になり、階級の細分化以外にも統括団体の増加などで世界王者の価値が暴落した現在では昔ほどオリジナル階級とJR階級の評価に差が出て来なくなりました。しかし、過去の名王者を引き合いに出して語るならば、当時の周辺状況や価値基準の変化などを出来るだけ推敲したうえで評価すべきだと思います。

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