2014年11月25日火曜日

名勝負製造マシーン、敗れる

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スポナビ 2014年09月20日
角海老-ボクシングコラム
ロマゴンが八重樫を9RTKOで下し、3階級制覇達成
八重樫vsロマゴン
 戦前から大きな注目を集めた八重樫東(大橋)とローマン・ゴンザレス(ニカラグア)によるWBC世界フライ級タイトルマッチは、ゴンザレスが9回TKOで八重樫を下して3階級制覇を達成。アマ時代から126戦無敗の怪物ゴンザレスの挑戦を真っ向勝負で受けて立った八重樫の健闘ぶりは感動を呼び、軽量級世界最強と名高いゴンザレスも予想通り破格の強さを見せつけた名勝負となった。
 序盤は左ジャブを軸に足を使った出入りのボクシングを展開しようとした八重樫だったが、ガードを高く掲げたゴンザレスのプレッシャーは強く、主導権は握れない。
 2回以降、八重樫は足を止め、攻勢を強めてきた39勝33KOの最強挑戦者を真っ向勝負で迎え撃った。しかし、試合後に「打たれたら打ち返すという根本的な部分でしか勝負できなかった」と八重樫が言ったように、攻撃は後手に回った。ゴンザレスはワンツーからアッパー、ストレートと4発、5発のコンビネーションを的確に繰り出し、八重樫から3回にはカウンターの左フックでダウンを奪うなど、徐々に追い詰めていく。
 それでも八重樫は一歩も引かなかった。強すぎて対戦相手が見つからないと言われた褐色の27歳との勝負を二つ返事で引き受けた「名勝負製造マシーン」の異名を持つ王者は、打たれても打たれても前に出る。2発貰ったら3発、3発貰ったら4発返す。なんとかゴンザレスに一矢を報いるべく食らいついた。
 圧巻は終盤に入った8回、そして最終ラウンドとなった9回の攻防。両者至近距離での激しい打ち合いが繰り広げられ、顔を腫らした八重樫のパンチが当たる度には「アキラコール」がわき起こる。ハートの強さでは絶対に負けない、そんな八重樫の心意気が伝わってくるファイトぶりに場内は大きな歓声で応えた。
 だが、ゴンザレスは本当に強かった。8回に八重樫渾身の左フックをテンプルに貰ってもびくともせず、最後はガードを上げることさえできない王者を左右の連打を浴びせてマットに沈めた。ゴンザレスがハードパンチャーであるのは間違いないが、豪腕にモノを言わせて叩きのめすというよりは緻密で正確無比、身体能力やスキルに裏打ちされた攻防含めたボクシングには一切の無駄がなかった。
 こうなってくると、日本の軽量級勢にとっても「ストップ・ザ・ロマゴン」が大きなテーマになってくる。八重樫の後輩でWBC世界Lフライ級王者の井上尚弥が早くも「仇討ち」に興味を示しており、井岡一翔はLフライ級のWBA王者時代にゴンザレスとの対戦話が浮上していた。八重樫のスピリットを受け継ぐためにも井上、井岡の2人にはこの命題に勇気を持って向き合って欲しいところだ。

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