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Yahoonews 中日スポーツ 3/13(金) 16:29
2人の元世界王者…高山勝成と八重樫東 「引き際の美学」について考える
日本人初の世界3階級制覇(WBAミニマム、IBFライトフライ、WBCフライ)の八重樫東(37)=大橋=と、ミニマム級で日本人初の主要4団体で世界王者に就いた高山勝成(36)だ。
八重樫は大橋秀行会長から引退勧告を受け、アマチュアに転向していた高山はプロに復帰するという。高山は東京五輪を目指して2017年4月にJBCへ引退届けを提出。昨年8月、東海地区予選で敗退し、目標が途絶えての復帰となる。
引退か、続投かは本人が熟慮に熟慮を重ねての決断だろう。顔面への打撃が許されるボクシングが競技スポーツとして確立している条件のひとつに安全性がある。大橋会長の八重樫への引退勧告は35戦28勝(16KO)7敗という戦いの中で受けたダメージを鑑みての決断だろう。この勧告からは家族の元に無事に戻してあげたいという大橋会長の親心が伝わってくる。
これに対して、再びプロに戻り、世界王者返り咲きを目指すのが高山だ。軽量級の技巧派で、スピードと多彩なテクニックで見せ場を作るパフォーマンスでファンを魅了してきた高山は「アマ経験を生かしながらプロでやり残したことを達成したい」と語った。
この高山も、軽量級でもKOが求められるプロではパンチ力が課題だった。アマ経験で何がプラスになったのかは分からないが、八重樫も高山も全盛期を越えた36、37歳。年齢からみても多くは期待できそうにない、というのが大方の見方だ。
これまでアスリートたちによる“引き際の美”と数々の名言は記憶に刻まれてきた。たとえばプロ野球の長嶋茂雄氏は「わが巨人軍は永久に不滅です」と球場を熱くした。たとえば大相撲の千代の富士は「体力の限界!」と清く土俵を下りた。
いま、平均寿命とともにアスリートの選手生命も伸びる傾向にあり、何かと各界の「レジェンド」が話題になるようになった。現役にこだわる信念も大切だろうが、あえて厳しい言葉を投げかけたい。特に格闘技はダメージの蓄積と格闘しなければならないスポーツ。リングは選手にとって戦場であり、遊び場ではない、と。
功成り名遂げた選手たちが引き際に残す名言。実績に花を添えることでわれわれの心を揺さぶってきたと思う。「引き際の美学」。それを死語にはしてほしくない。
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