2017年5月16日火曜日

勝負の行方は…

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猫ボク 2017.05.16
ボクシングフェス2 井上&八重樫、勝負の行方は…
5・21東京・有明コロシアム「ボクシングフェス2017 DAY2」
 ▼WBO世界Sフライ級タイトルマッチ 12回戦
  王者・井上尚弥(大橋) × 同級2位・リカルド・ロドリゲス(米国) 
 ▼IBF世界Lフライ級王座統一戦 12回戦
  王者・八重樫東(大橋) × 暫定王者・ミラン・メリンド(フィリピン)
 ▼8回戦
  清水聡(大橋) × 東洋太平洋フェザー級15位・山本拓哉(エディタウンゼント)
  WBO世界Sバンタム級14位・松本亮(大橋) × ヘンドリック・バロングサイ(インドネシア)
  WBA世界フェザー級4位・細野悟(大橋) × 日本ライト級7位・野口将志(一力)
  平岡アンディ(大橋) × 山口祥吾(唯心)

 突出する強さを見せる井上は、並の挑戦者では試合への関心を高められなくなってきている。世界戦がたくさん並んだ中で、もっとも勝敗予想に大差がついた試合となった。予想アンケート(投票感謝です!)で349-27(ドロー15)。競技というのは勝敗が見えてしまうほど面白くないのだから、わずか13戦目の井上でも相応のマッチメイクが求められてしまう。8戦目で11度防衛の王者ナルバエスを速攻KOし2階級制覇したインパクトは大きく、以降、1位・パレナス、1位・カルモナ、3位・ペッチバンボーンと上位ランカーを連破しても一方的な内容が「順当」だった。元WBA王者・河野公平との前試合も力量差がハッキリしてしまっていたので、挑戦者の方に重きを置いて見ていたほど。世間ではローマン・ゴンサレスとの試合が煽られていたが、僕が知る限り、このマッチメイクに本腰を入れた気配はなく、「ロマゴンが王座陥落したから道がなくなった」のではなく、実際に陣営は別の統一戦を模索していた。それが実現できず今回の挑戦者は、アメリカ在住のメキシカンで16勝(5KO)3敗のロドリゲスに。

 この相手は井上が昨年5月に大差で下したデビッド・カルモナに2度(14、15年)敗れている選手。有力選手に4連勝中だから一定の実力者ではあるが、それでも「井上が勝って当然」と見られることは否めない。ディフェンスしっかりでジャブから連打につなげ、メキシカンらしいボディも打つ手堅いタイプ。ただ、パンチ力に乏しく、井上と五分に渡り合う姿は想像しにくい。井上は拳の具合が唯一の不安点で、あとは油断さえなければ、河野戦で見せたような距離のコントロールからの強打につなげることが予想される。予想投票からはラウンド数の明記されたものから一部抜粋してみた。

「井上は前半から左を上下に打ち分けながら右を効果的に当て、4Rにはダウンを奪う。5R終了ロドリゲスが戦意喪失で棄権」(川流河童さん)
「井上君の秒殺 1RでKO。 長くて2Rまで」(ふらっとさん)
「スタートから井上が左でコントロールしてそのまま5~6回でKO勝ちを予想します」(きっかけは町田さん)
「攻め急がずに試合を組み立ててワンサイドになった6回ぐらいで強烈なフック一発」(蒼い旅行者さん)

 陣営はバンタム級転向も視野に入れつつ、9月にアメリカでの試合を狙うという。ただ、「大晦日」を捨てない限り、現地で本格定着はできないから本当に「進出」なのか、それとも「顔見せ」程度なのかは分からない。いずれにせよ、井上には高い実力に見合った勝負が求められる。

 勝敗の行方はこっちの方が気になる、八重樫×メリンド。肩の負傷などで不出来な防衛戦もあった八重樫だが、治療とフィジカル強化の成果か、前回の試合はディフェンスもしっかり意識した本来の出入りを軸としたスタイルでキッチリ勝っていた。ただ、これは相手がミニマム級ランカーだったからというのもある。いずれにせよ、客を沸かせる「激闘」はむやみにやるとリスクを背負い、体も壊しやすくもなるから、そこを基本にしない方がいいと思う。パワフルだけどハードパンチャーではなく、下手な被弾から目を塞がれるから本来、不用意な打ち合いは避けたい。勝負どころでラッシュにつなげる賢い戦術は捨ててほしくない。

 ただ、相手のメリンドは難敵。アマキャリアを持つ35勝(12KO)2敗、試合スタイルは前進して正面からプレッシャーをかけつつ強いパンチを狙うタイプだが、相手が飛び込んでくるとカウンターを狙う巧さがある。過去の敗北は13年、当時29戦無敗のWBO&WBA王者・ファン・フランシスコ・エストラーダ戦と、15年のIBF王者ハビエル・メンドサ戦で、ともに小柄な体格が損をしたような内容だった。この相手に八重樫は「きれいに勝てない相手」とし、中盤からの打ち合いで突破を狙う構え。その分、好勝負は予想できるが、リスクはある。互いにキャリアがある者同士だけに小細工は通用しにくいのだろうが、フルラウンドも見据えた戦略も見せてほしい。予想アンケートでは、八重樫が203-93(ドロー10)で優勢。思ったよりも楽観的で、多くは判定勝ちに投票。

「出入りの早さと手数の多さで攻める八重樫、一方メリンドの拳も要所要所で八重樫の顔面を捉えるので中盤までは拮抗した展開に。10ラウンドあたりで疲れが見えてきたメリンドを見逃さず、八重樫が激闘モードで攻め立てて小差判定の判定勝ち」(ファイファンさん)
「序盤は、メリンド優勢。距離を支配した八重樫選手が巻き返しを図り8R終了後にイーブンの展開。試合はクロスゲーム。勝負は、10R以降優勢に進めた八重樫選手の勝利。116-112で八重樫選手の判定勝ち予想」(if…さん)
「フィジカルで勝るがオフェンス技術に欠ける八重樫のいつもの試合。メリンドと言えど八重樫を崩しきれず、八重樫の中差から僅差判定勝利」(F5(フゴー)さん)

 一方、「序盤にダウンを喫するも何とかKO負けは拒んで大差判定負け」(TSさん)、「激しく打ち合って頭ぶつけられて血だるま劣勢の中試合ストップでの負傷判定負け」(ローカルさん)という厳しい予想も。陣営は「勝てば他団体王者と統一戦」を目論むが、この試合に先を見越せる余裕がないのもたしかだ。

 アンダーカードでは、銅メダリストの清水(2勝(2KO))がデビュー3戦目で、日本人選手と初対戦。前回は6勝(1KO)3敗のフィリピン人を倒したが、今回は9勝(4KO)5敗の山本が相手。こちらは13年デビュー、翌年の西日本新人王トーナメントは準決勝で敗北したが、昨年は13年の全日本新人王・河村真吾を下して8回戦初勝利した。さらに前回3月、東洋13位の芹澤天明にも勝って東洋ランク入りしての初戦。
 ほか、松本は3月に日本11位・坂本英生を初回TKOして格の差を見せたが、今回は29勝(18KO)25敗3分の出稼ぎ男と対戦する。細野は昨年、IBF挑戦者決定戦で3位・ジョナタン・バロスに1-2の惜敗、大きなチャンスを逃しての再起戦。相手は昨年、土屋修平との日本王座決定戦で敗れた12勝(6KO)6敗1分の野口で、2階級の差がある対決(試合ウェイトはSフェザー級)。8勝(5KO)無敗の平岡は、10勝(5KO)2敗1分の山口とユース戦みたいな組み合わせだ。

 2日連続の有明開催は興行的にはリスクある話で、チケットは完売には遠そう。チケットぴあではSRS・5万円のみ完売で、アリーナRS・3万円が残り少なく、あとはスタンドRS・3万円、スタンド指定A・2万円、スタンド指定B・1万円、スタンド指定C・6千円が買える(16日時点)。フジテレビでは19時より延長アリで生放送される。

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