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猫ボク~拳論と猫論 2015.12.29
井上と八重樫、それぞれのパーフェクト勝利
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八重樫は井上と違った意味でのパーフェクトな試合だった。乱雑ながら強引に手数を落とさず出てくる厄介なチャンピオンに、高い集中力と強化されたフィジカルで的確なヒットを続けながら、八重樫らしく相手の打ち合いにも応戦。ただし、ギャンブル的に乱闘したのではなく、きちんとクリーンヒットをとってペースを死守。そこそこ顔も腫れたタフファイトだったが、リングをまわる余裕も見せて採点上は完勝。勝つための激闘という八重樫ならではのスタイルを完成させたことは、彼が試合後に発言した「プロ」のプライドをまさに体現したようなもの。金の取れるファイターとはこのことだ。
初回、スピードを生かした細かい手数を打ちながら、メンドサの空振りを誘い、序盤の優勢を作った。メンドサの圧力はかなりのものだったが、八重樫は上下の打ち分け、トリッキーな一発で翻弄。足を止めての打ち合いではショートのヒットにとどめ、勝ちを意識。5回にヒッティングで出血したメンドサは中盤からメンドサは攻勢を強め、消耗戦に持ち込んだため、危なかったのは消耗してきた7~8回、メンドサの強い左ストレートなど追い上げ展開にハマりかけたが、ここで八重樫は乱打戦をせずステップによる距離の再設定で試合を作り直していた。さすがのキャリア。こういう進化を実践できたのは大きい。ノンストップで打ってくるメンドサのメンタルも相当なものがあったが、八重樫は終盤も左右ステップを落とさず、打ち合いでも的確なヒットを心がける集中力を維持していた。終盤メンドサが崩れかけるも踏ん張る、密度の濃い12ラウンド、ゴングが鳴ると観客は総立ち。八重樫は勝利後にリング上で号泣し、メンドサと抱擁、これはグッとくるものがあった。階級制覇などの肩書きを連ねても支持の少ないボクサーは、こういう客に伝わるファイトを見せられないからだと思う。
予想ではメンドサKO勝ちが一番多く、八重樫判定勝ちは2番目。それっぽい練習生さんは「メンドサは左右とも強打がありKO負けが怖い。しかし大振りしてそれなりに隙はある。序盤は前後のスピードでポイントをピックアップ、中盤から左サイドに回って明確な有効打を狙っていくこと。左の大振りの打ち終わりに左サイド飛び込めば勝機あり」となかなかの予想だった。F5(フゴー)さんも「明確な八重樫の判定勝利」とした。僕は今回、ちょっと危ないかなと思っていた方だから予想は外れた方だが、事前に書いた「キャリアを生かした上手な攻略」の願いを叶えてくれたのは感無量。試合を見ながら安定していた下半身の強化も勝因のひとつではないかとは思った。頭脳ファイトをできるだけのコンディションを作れていたのが大きい。
八重樫 「去年、ボクシング辞めようかと思ったんですけど、家族の賛成と皆さんの声援のおかげで世界のリングに戻って来ることができました。途中、ポンサワンとやったときと同じ感覚になって、ダメかなと思いながら、ここで諦めなければチャンスがあると思って頑張りました。3階級はオマケですね。強い相手と戦うことがプロボクサーとしての喜びであり、仕事です。ファンに最高の恩返しだと思います。3階級は結果として付いてくるものです。去年は負けて妻の誕生日プレゼントが渡せなかったので、今年は1日早く渡せます。誕生日、おめでとう。これやって見たかったんです(笑)」
メンドサ 「力を尽くしきった魂の戦いだったと思います。思ったよりも打ち合いになったんですが、八重樫はスピードがあってとても偉大なボクサーだと思います」
これでライトフライ級はWBA田口良一、WBC木村悠と合わせ日本人が世界王座4分の3を占めた(WBOはニエテス)。こうなると、いやでも統一戦の機運も高まる。個人的には、無理な「4階級制覇」とかよりも、八重樫には能力の発揮できる試合をしてほしいと思う。力を尽くせたときの彼の試合には勝敗を超えた価値があるからだ。
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