THE PAGE 2015.12.18 15:00
<ボクシング>八重樫、最強レフェリーとタッグで3階級制覇狙う!
元2階級王者の八重樫東(32歳、大橋ジム)は29日、東京の有明コロシアムでIBF世界ライトフライ級王者、ハビエル・メンドサ(24歳、メキシコ)に挑戦するが、3階級制覇、王座返り咲きのために新たなチャレンジに取り組んでいる。フィジカルの専属トレーナーを、これまで師事してきた土居進トレーナーから格闘家へのパーソナルトレーナーとして経験、知識の豊富な和田良覚(52)さんに変更したのだ。和田さんは、総合からキックまでを裁く格闘界の名レフェリーという、もうひとつの顔を持つ。これまでリングス、PRIDE、K-1、パンクラスなどで、数々のビッグマッチを裁いてきた。元々は陸上選手だったが、格闘家顔負けの肉体を誇り、実際DEEPマットで試合も行い、ファンの間では“最強のレフェリー”と呼ばれている。八重樫は、10月から週に2度、その和田さんの指導を受けて、フィジカルを鍛え、また週に一度は白井・具志堅ジムの野木丈司トレーナー(55)が主宰している長い階段を使った猛烈な合同ランニングトレーニングにも参加している。
この日も、都内のゴールドジムで約1時間、器具を使ったウエイトトレーニングと神経系のサーキットトレーニングを和田さんの指導を受けながら、みっちりと消化。試合と同じく、3分間、1分インターバルのサーキットトレーニングでは、瞬発力、反応を作る数種類のジャンプに加え、格闘技のレフェリーらしく、互いに両腕をクロスしてつかんでの引っ張り合いや、ボクシングのボディ打ち、“押し相撲”などを合間に挟んでいくユニークなものだった。和田さんが、特に指摘しているのは、股関節の使い方だ。
「これまでは上半身だけに頼ったパンチで動きが硬かった。下半身も膝だけを使った動きで、股関節から動き出せていないので、パンチの爆発力を伝えることができていなかった。そこを中心に鍛え、まず股関節、下半身に柔軟性を持たせた。パンチは流れないし、体全体を使ってパンチを打つことができるようになり、バランスが良くなり、破壊力、爆発力が増している。ロマゴン、ゴロフキンのようなパンチを目指している」と、和田さん。
八重樫も「体全体を使ってパンチが打てている。でも、このトレーニングの効果は、当日試合のリングに上がって初めて感じるもの。疲れが取れた状態で、8オンスのグローブをはめてみないとわかりません。でも、それが楽しみなんですよ」と言う。
そもそも八重樫は、なぜ3年前の井岡一翔(井岡)とのWBC、WBA世界ミニマム級王座統一戦の試合前から組んできた土居氏とのコンビを解消してフィジカルトレーナーを変更したのか。
「土居さんにも話をして“土居トレ”を休ませてもらうことに納得してもらいました。これまでは、土居さんの厳しいトレーニングに耐えることだけで満足してしまったことがあるんです。勝つためには、何かを変えなければならなかったし、そんな自分から脱却しなければならなかったんです。自分で自分をコントロールする力が必要でした。
それと厳しいトレーニングに取り組むと筋肉が肥大します。でも、今回はライトフライ級です。そうなると今ある筋量を増やすのではなく、パワーの出力を増す方法を模索しなければなりません。つまり体の使い方ですね。色々と調べている最中に、知人を通じて和田さんと知り合いました。和田さんと野木さんも親交があり、トレーニング理論も共通しているんです。でも和田さんが、格闘界でそんなに有名なレフェリーの方と知りませんでした(笑)」
理由は2つあった。ひとつはマンネリからの脱却。メンタルの部分だ。過酷な土居トレは、それを消化するだけで精神的な達成感を得る。それが自信になるのだが、もう32歳。ガムシャラに自信を植え付けるための練習ではなく、自己を管理し、時にはペースを落とすことも必要だった。そして、トレーナーを変えることで、また新しい知識を得て、何のためにフィジカルを鍛えるのかの目的意識を再確認しておきたかった。「土居トレで、ベースができているからこそ、そういうチャレンジができたんです」とも言う。
そして、もうひとつの理由はメンドサ対策だ。
チャンピオンは、24勝(19KO)2敗1分の高いKO率を誇るメキシカン。スピードボクシングも接近戦もできる万能タイプで、しかも、八重樫が不得意なサウスポーだ。右のリードブローの手数が多く、角度やタイミングを変えながら左のパンチを当ててくる。
八重樫が抱く、この試合の勝利イメージとしては、「同じサウスポーなら五十嵐のほうが動いた。さばくこともできすし、相手のペースにせず、ごちゃごちゃして判定で勝つのが理想」というもの。そのボクシングを実現するためには押し負けることはできない。フィジカル勝負だ。しかし反面、厳しい減量がついて回る。体の使い方という新境地に飛び込む決断を八重樫がしたのも無理はなかった。
「大橋会長に、このチャンスをもらった。無理を言い、本当に好き勝手をやらしてもらっている。自分でできると言って飛び込んだ階級。もういい試合をしたけれど負けました、ではダメなんです。負けたらどうするかとか、勝ったらどうするとか、先のことは何も考えない。でもなんか、これまでの試合とは違う気持ちで迎えることができる。自分がどうなるのかを楽しみという感覚がある」
去年9月に“怪物”ローマン・ゴンザレスに倒されてベルトを失ったが、その試合は激闘王と賞賛された。だが、もう無冠のヒーロー的な称号はいらない。王者はガードは高いが、無造作に左フックを浴びる癖もあり、接近戦で連打をもらうと下がる傾向もある。八重樫が頭をつけあうような消耗戦に持ち込み、得意のコンビネーションブローを打ち込めば勝機は十分にあるだろう。
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