関心空間 2014/09/08 4:05 am
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ここ最近で聞いた、ふたりの日本人アスリートの言葉が心に残っている。
ひとりは、全米オープンテニスで「奇跡」を起こし続けている、錦織圭。
ラオニッチに勝ちベスト8を決めた後のインタビューで、「勝てない相手はもういないと思う」と彼は静かに言っていた。4大大会のベスト8、残りは、ジョコビッチやフェデラーやマレーなのに、「勝てな
い相手はいない」。すごい。そして、彼はその言葉通りに、世界ランク1位のジョコビッチを破り、ア
ジア人史上初の決勝へ進んだ。高村光太郎ではないが、「彼の前に道はない、彼の後ろに道はできる」のである。彼が世界を変えるまで、あとひとつ。
もうひとりは、ボクシングの、八重樫東。WBCフライ級世界戦の前の会見で、彼は「命をかけて戦います」と語った。
よく、アスリートが大舞台前に「命がけで」と言うことがある。もちろん、彼ら彼女らは、気持ち的には本当にそう心から思って戦いに挑んでいるのだろう。
だが、その一方で、例えばサッカーW杯に出場する選手は、試合後に自分は死んでいるかもしれない、とは思っていないだろう。オリンピック前、体操選手などは命がけの部分も確かにあるだろうが、やはり、競技後に生命が終わっているかも、と考えている選手はほとんどいないだろう。
しかし、八重樫はきっと、その言葉通りに、死を覚悟していたと思う。相手は、39戦全勝、まさに最強の、ローマン・ゴンサレス。能力では明らかに八重樫が劣る。それを充分に自覚しながら、この想像を絶する強者の拳を受け続ける意志を、八重樫は表明していたのだ。
試合後、彼は、「意識がある限りは戦おうと思っていた」とも言っている。肉体を破壊し合い、脳を揺らし合う、ボクシングという競技で、「意識を失うまで」というのは、つまり、死ぬまで、ということだ。
そして、その言葉通りに、八重樫は本当に素晴らしいファイトを見せてくれた。
ロマゴンの悪魔のように正確で強固で美しいブローを信じられないほど被弾しながら、前に出るこをやめず、小さく早く返す左のフックで最強の敵の顔を揺らしてみせた。
8回・9回の八重樫を観ていて、何度も「うおー」と叫び、涙が出てきた。
ロマゴンは9回TKOで勝利を決めた直後、リングで涙を流していた。あのロマゴンをそこまで精神的に追い詰めた八重樫の闘争心、自分は一生忘れないだろう。
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