2022年5月2日月曜日

「ボクシングの聖地」

 岩手日報

風土計 2022.5.1 「ボクシングの聖地」

「ボクシングの聖地」といえば東京・後楽園ホール。今年で開業60年を迎えた。数々も名勝負が繰り広げられてきたが、運営会社のサイト「格闘史」名を刻んだ県人選手がいる。葛巻町出身の触沢公男さん。1976年に行われたノンタイトル戦で世界王座返り咲きを目指す前王者をKOした。無名の中堅選手の大金星は、「永遠の語り草になる大番狂わせ」と評された。次戦もメキシコの世界ランカーを、マットに沈め、実力は本物であることを証明。リング上で祈りをささげるクリスチャンボクサーとしても話題になった。世界タイトルには2度挑んだが、ベルトには届かなかった。それから35年。2011年に聖地で県人初の世界王者となったのが北上市出身の八重樫東さん。タイ人王者との激しい打ち合いを10回TKOで制した。その後に3階級制覇を果たし「激闘王」と称された。半年後には、盛岡市出身の佐藤洋太さんが県人2人目の世界王者に。2度ダウンを奪う快勝だった。どちらもリングサイドで取材したが、リングと客席の近さ、頭の上から降ってくるような歓声に圧倒された。聖地でメインイベントを戦うことは、ボクサーにとって最高の勲章の一つだろう。自分の拳一つで未来を切り開く。カネも名誉もリングにある。先人たちに続く、県人選手の登場に期待したい。



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