2019年10月24日木曜日

老練者(ふるつわもの)ドネアには不運な負傷判定、テテ、カシメロはノックアウト

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ボクシング動画配信局 2019/10/24

老練者(ふるつわもの)/モルティ・ムザラネVS八重樫東
モルティ・ムザラネのようなベテラン王者が出来ることと言えば、現実的に対戦可能な相手の挑戦を喜んで受け入れることだけだ。選り好みなんてしない。
日本のボクシングファンは12月23日に行われる3大世界戦のカードを知って歓喜した。
それでも、モルティ・ムザラネよりも幸せな魂を見出すのは困難だろう。
最も不遇なファイターとして長年耐えてきた現IBFフライ級王者は、八重樫東との防衛戦でトリプルヘッダーのオープニングを飾る。南アフリカの37歳にとって、八重樫との試合は当初望んでいたものではなかったが、統一戦をアピールしても上手くいかない状況にあっては、この試合を喜んで受け入れた。
コリン・ネイサン(ムザラネのトレーナー)
「2人の偉大なファイターによる素晴らしいファイトです。彼らは真のウォリアーです。」
ムザラネ(38勝25KO2敗)はフライ級王者として2度目の統治を少しでも長くするため世界中を旅している。彼の最初の統治はボクシングの政治に翻弄され、3年間保持していたベルトを返上することを余儀なくされた。4年の忍耐を経て、昨年7月にマレーシアで無敗のプロスペクト、ムハマド・ワシームを破り王座を奪還、以後、マカオで日本の坂本、日本で黒田を下して防衛中だ。
八重樫東(28勝16KO6敗)は、ここ10年間でフライ級周辺で活躍し3階級を制した。日本では熱狂的なファンを持っているカリスマだ。
ムザラネ
「八重樫は全力で向かってくるだろう。」
ムザラネは2008年ノニト・ドネアに負傷判定で敗れて以来、11年間負けを知らず15連勝中だ。
この試合は元々、ムザラネ陣営が統一戦の入札に失敗したことから始まった。WBC王者チャーリー・エドワーズとの統一戦を希望していたが、エドワーズは8月にフリオ・セサール・マルチネスに実質KO負けのNCの試合を演じ、再戦を断り減量苦を理由に王座を返上してしまった。勝者同然のマルチネスはエドワーズが空けた王座を元王者クリストファー・ロサレスと争う予定だ。勝ってもムザラネとの統一戦には向かわないだろう。
それまで、モルティ・ムザラネのようなベテラン王者が出来ることと言えば、現実的に対戦可能な相手の挑戦を喜んで受け入れることだけだ。
人気でドル箱のスター選手もいれば苦労し誰からも注目されないムザラネのような選手もいるのがボクシング。ムザラネは現役最後の貯金箱にどうやら日本を引き当てたらしい。
世界戦ほぼ全てで骨折した伝説の海老原博幸の世界戦以外の戦績は61勝(32KO)1敗(ファイティング原田)だ。先日の和氣の敗北を知り身につまされるのはそんな海老原のセリフだ。
「世界チャンピオンになるような選手は普段負けない」
同級生、36歳の八重樫と37歳のムザラネは共に世界の頂点で数々の死闘を演じてきたベテラン同士だが、やはりムザラネの38勝25KO2敗という戦績は3階級王者八重樫の28勝16KO6敗を大きく上回る。
ドネアには不運な負傷判定、テテ、カシメロはノックアウトした。
ムザラネのボクシングはシンプルだ。地に足つけてガッチリガード、ジャブから接近戦の打ち合い、何のやりにくさもないベーシックなスタイルだ。坂本も黒田も健闘したが、終わってみれば日本人はボコボコに顔が腫れ、ムザラネは涼しいものだった。効いていたのか平気なのかわかりにくい。
堅牢強固なムザラネをこじ開けて倒すのは至難の技だろう。
ガードが固いだけでなくタフネスと忍耐強さ、強打も持っている。
スピード、運動量、手数、足で翻弄するのが八重樫の勝機だ。
一定以上のスピードとテンポを前にすれば重厚なムザラネのリズムも狂わされるだろう。
キャリア豊富なベテラン同士、どんなに激しい打ち合いになってもそれを心から望んでいるのだとおもい楽しみたい。
互いに思う存分戦える相手だ。

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