2019年6月26日水曜日

5つ目のベルト

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yahooニュース THE PAGE 6/26(水) 6:31

世界ベルト5本披露の井上尚弥がドネア父挑発に反論

ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26、大橋)が25日、横浜の大橋ジムでWBC、WBO、WBA、IBFの主要4団体のベルトと、米国で権威のあるリング誌が独自認定しているリング誌ベルトを合わせて5本の世界ベルトを披露した。過去に主要4団体のベルト奪取は高山勝成がミニマム級で成し遂げたが、リング誌を含めた5本の世界ベルト奪取は日本人初。井上は「これで満足せずもっとベルトを増やしていく」と宣言。来月中旬には開催場所と日程が決定しそうなWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)の決勝で5階級王者でWBA世界バンタム級スーパー王者のノニト・ドネア(36、フィリピン)と対戦するが、この試合は、WBAのベルトの統一戦となり勝てば6つ目のベルトを手にすることになる。
次は6つ目のベルトを狙う
 名誉な5つ目のベルトが届いた。
 1922年に創設されたリング誌のベルトだ。初代は伝説のヘビー級王者、ジャック・デンプシー(米国)。1990年代に一度中断されたが、2002年に再開した。世界王者は、4団体と乱立し一般ファンにとってわかりにくいが、「真の世界王者」をリング誌が認定しようというのが、このベルトの主旨。日本人ボクサーで贈呈されるのは、WBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(25、ワタナベ)以来、17人目となるが、日本人ボクサーの第一号は、1952年に日本人として初のフライ級世界王者となった白井義男氏。大橋ジムでは過去に八重樫東も授与されている。
「NAOYA INOUE」の名前と授与される試合となった英国グラスゴーでのWBSS準決勝、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦の記録が刻みこまれたこのベルトが届いたタイミングで、同試合で手にしたIBF同級ベルトも含めて5本が揃ったため、お披露目となった。
 5つのベルトを前に井上は「ベルトを並べて初めて重圧というか、やってきた歴史を感じました。WBC(ライトフライ級)からタイトルをとって、WBO(スーパーフライ級)、WBA、IBF(バンタム級)といきましたが、どのタイトルにも思い出がある。でも、これからもっとベルトを増やしていこうという思いがある。これで満足はしない。まだまだ」と宣言した。
 価値としてベルトの「重さ」に優越はつけられないが、ベルトとしての重量は「IBFが一番重い。次にWBA、WBO、WBCの順」だそうである。
 6つ目のベルトをかけた戦いが目の前に迫っている。大橋会長が「まもなく場所と日程を発表できると思う」というWBSS決勝のドネア戦だ。ドネアは1回戦で途中棄権したライアン・バーネット(英国)からWBA世界同級スーパー王者の座を奪っている。防衛回数を重ねた特別の王者が認定されるスーパー王者と、正規王者の井上の統一戦がWBSS決勝の舞台で行われるのである。井上が勝てば、優勝者が手にするモハメド・アリ・トロフィーと共に、少し通常のベルトとデザインが違うWBAのスーパーベルトを手にすることになる。
「(僕は)打たれ強いです」
 そのドネアの実父でボクシングトレーナーであるノニト・ドネア・シニア(60)が、先日女子ボクシングの世界戦のセコンドとして来日した際、井上戦について「先にパンチを当てた方が勝つ。早く決着がつく。12ラウンドはかからないだろう。井上は若いし速い。でも、耐久性を問われる試合になる」などと、冷静かつ挑発的に注目発言をした。
 この日、井上にそのドネア父の意見をぶつけると笑顔で反論した。
「(僕は)打たれ強いですよ。(試合では打たれたことはないが)やっている感じでわかる。スパーリングでも(パンチが)効いちゃう人と効かない人がいる。スパーでは僕もパンチをもらうから。まあ、見えないパンチをもらうと別ですが」
 井上は、ここ3試合、2ラウンド以内の“秒殺”が続いている。クリーンヒットは、一発ももらっておらず、「パンチをもらったらどうなるか?」は、未知の部分。そこをドネア父が挑発的についてきたわけだが、井上は、真っ向反論した。
 では「先にパンチを当てた方が勝つ。早期決着」については、どうか。
 ドネアは“フラッシュ(閃光)”と呼ばれる左フックが武器。WBSS準決勝では、WBO世界同級王者のゾラニ・テテ(南ア)の代役出場となったWBA5位のステフォン・ヤング(米国)を6回に左フック一発で沈め、それが錆びついていないことをアピールした。
「どっちかが、いいパンチを当てると、それ(早期決着)はありえる展開になりますよね。でも、パンチをもらうイメージはわかないです。間違いなく過去に一番強いパンチですが、それをブロックの上からもらってどう感じるか」
 左フック対策が、この試合のすべてだろう。
 父で専属トレーナーの真吾氏も、「この試合にカギはある。試合が終わるまで言えないですが、尚も僕もそれは一致している」と語ったが、そのカギとは、左フック対策に違いない。
 ドネアの左フックは、パンチの打ち終わり、或いは、相打ちのタイミングで、一瞬、先に当てるカウンターパンチとして飛んでくる。
 井上は「ドネアには、あの左フックを当てる何かがある」とも語っていた。しかも、衰えが目立ちだした、ここ数試合は、左ボディという“餌”をばらまいてくるようになってきた。
 その数ある左フックへの布石をどう封じて、先にパンチを当てるのか、がテーマになってくる。
「ドネアは、左フックを当てるのが得意中の得意。それで勝ってきている。キャリアがあり、当て勘がある。それだけには気をつけたい。でも(なぜ左フックが当たるかは)リングに上がるまで判明しない。リングに上がって自分と対戦してどう変わるか。映像を見て、対策を練っても、対戦相手が変わると、そこが変わってきますから」
井岡の4階級制覇をどう見た?
 ここ3試合で驚異的なスピードの適応力を発揮しているが、ドネア戦では、磨きがかかってきたリング上でのその能力が再度、試されることになる。
 両陣営が語るように、やるか、やられるかのKO必至の試合になるだろう。ドネアの全盛期ならまだしも、ここ数戦の年齢的な劣化を考慮すれば、井上の4試合連続の2ラウンド以内決着のインパクトが再現されそうではある。ただ、そういう期待が、力みやプレッシャーに変わるというリスクもある。
 ドネア戦を乗り越えても、まだバンタム級にはテテが持つWBOのベルトが残る。
「まだテテもいる。決勝後もバンタムで続けるとなると、そういった選手とやっていくことになると思う。結果を出しても次に強敵が生まれる。その相手にどう勝つか。格闘技でないと味わえない戦い。強敵に向かって準備して戦うだけ」
 その先には、ドーピング問題や体重超過問題を繰り返し、日本人が最も嫌っていて、現在、国内では事実上の永久追放処分となっている元WBC同級王者、ルイス・ネリ(メキシコ)もいる。
 井上の“ベルトコレクター活動”に終わりはない。
 19日には、井岡一翔(30、Reason大貴)が劇的TKO勝利でWBO世界スーパーフライ級王座に就き、日本人初の4階級制覇に成功した。
「見ました。刺激にはなりますよ。階級近いですしね。井岡さんだけに限らず、誰も意識しないことはない」
 井上には4階級制覇となるスーパーバンタム級への転級だけでなく、そのもう一つ上のフェザー級での日本人初となる5階級制覇への可能性もある。
 だが、井上は「(転級は)タイミング。別に日本人初の記録を目指しているわけではない。実力を発揮できる階級でやり続けて上が適正ならそこへ行くが、、記録を作りたいからやるわけじゃない。この5本のベルトにしても、結果的にこうなっただけで狙ったわけじゃないですからね」と持論を展開した。
 そして「強さに満足していない、まだまだ底が見えない。自分でもどこまでいけるか楽しみ。そこをモチベーションにしています」とも語る。
 これが井上の進化が止まらない理由だろう。
  18日から練習を再開。ボクシング以外の仕事は「制御している」という。
「今は浮かれていい時期かなとも思うんですが(笑)。今は、ボクシングに興味ない人が振り向いてくれているという実感がある。ボクシングにもっと光を当てないといけないので」
 だからこそ「いつも通り」を見失わないように心掛けている。
「パウンド・フォー・パウンド4位(リング誌が制定している階級がないと仮定しての最強ランキング)という評価を落とさないようにしたいし、いつも通り平常心で試合に向けてしっかりと準備します。準備した結果、いつも通りの結果が出せると信じている」
 7月末には3日間の走り込み合宿が予定されている。

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