2019年5月20日月曜日

衝撃259秒TKO!

https://bit.ly/2HrX7oP
サンスポ 2019.5.20 05:05

プロボクシング・IBF世界バンタム級タイトルマッチ兼ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)同級準決勝(18日=日本時間19日、英国・グラスゴー)怪物が世界にその名をとどろかせた! WBA世界王者の井上尚弥(26)=大橋=が、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(26)=プエルトリコ=に2回1分19秒TKO勝ちし、決勝進出を決めた。無敗の王者同士の決戦で相手を3度リングに沈める驚異の強さを見せた“モンスター”は、IBF王座を獲得し2冠を達成。5階級制覇王者で現WBAスーパー王者、ノニト・ドネア(36)=フィリピン=との注目の決勝は年内に行われる。
 キャンバスに沈んだロドリゲスが起き上がれない。勝利を確信した井上尚は左拳を高々と掲げた。わずか259秒でTKO勝ち。米国と並んでボクシングの人気が高い競技発祥の地・英国で、“モンスター”と呼ばれる理由を証明した。
 「平常心で闘おうという気持ちでイギリスに乗り込んできた。(会場の歓声に)ホーム感を感じた。後押しをしてくれた。グラスゴーは思い出深い会場になった」
 英国では過去に5人の日本選手が世界戦に挑んだが、いずれも敗戦。初の快挙は緻密な戦略から生まれた。1回はジャブ、右ストレートを打ちながら相手との距離、力量などをチェック。「負けることはない」と確信すると、2回で勝負に出た。
 相手の左フックをかわし、カウンターの左フックで最初のダウンを奪う。起き上がった相手に襲いかかり、連打からの右ボディーで2度目のダウン。リングに両手をついたロドリゲスは戦意を失い、悲しそうな目で首を振る。井上尚はロープに押し込むと再び連打を浴びせて沈め、レフェリーは試合を止めた。昨年の2連続1回KOに続く、文句なしの完勝だ。
「ボディーが強くない」。昨年10月に米国で試合を偵察した際に、弱点を見抜いていた。頭部を狙って相手に上体の防御を意識させ、必殺のボディーにつなげる練習を繰り返した。入念に練った作戦を本番のリングでも完璧に遂行した。
 昨年末、「疲れが抜けにくくなった」と感じた。同門の先輩で元世界3階級制覇の八重樫東(36)に相談すると、筋肉を必要以上に肥大させない大豆由来のプロテインを勧められた。飲み始めると不安が解消。「尚弥は自分の身体に対してすごく繊細。だから、いい状態で練習を続けることができる」と八重樫は関心する。
 WBAに続きIBFの王座も手にし、これで主要4団体のベルトを完全制覇。さらに今回、米で権威のある専門誌「リング」のベルトも手に入れた。
 年内に予定される決勝では世界5階級制覇の強豪、36歳のドネアと対戦する。開催地は未定だが、日米のほかオイルマネーで潤う中東も候補に挙がっている。勝利すればファイトマネーや賞金などで、軽量級では破格の約1億円を手にする見込みだ。
 「誰とやるかが重要。次はドネアとやることに意味がある」
 金やタイトルにこだわりはない。注目の一戦でアジアを代表するボクサーを倒し、その圧倒的な存在を比類なきものにする。井上尚の闘いは続く。
大橋ジム・大橋秀行会長
「無敗だった王者が2回で首を振るなんて…。衝撃的だった。今までで一番すごい試合だった」
元世界3階級制覇王者・長谷川穂積氏
「倒す前のワンツーが効いて、左フックも生きたんじゃないかと思う。彼の得意な打ち方だった。今の勢いだと誰も止めることはできない」
ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)
 米独のプロモーターが企画したトーナメント戦。各階級で世界トップ級の8選手が出場し、優勝者には高額賞金と「ムハマド・アリ・トロフィー」が授与される。賞金は軽量級では破格の総額100万ドル(1億1000万円)超となる見込み。2017年に始まった第1回はスーパーミドル級とクルーザー級の2階級で実施され、賞金総額は5000万ドル(約55億円)。18年に始まった第2回はバンタム級、スーパーライト級など3階級で実施中。
データBOX
 ◎…日本選手の英国での世界戦勝利は井上尚が初めて。1968年1月の関光徳(新和)を皮切りに、2014年11月の大竹秀典(カネコ)、15年6月の岩佐亮祐(セレス)、17年5月の村中優(フラッシュ赤羽)、同年10月の石田匠(井岡)と過去に5人が挑んだが、いずれも英国人王者に屈していた。
 ◎…英国に限らず欧州での世界戦白星も井上尚が初めて。これまで17連敗だった。
井上 尚弥(いのうえ・なおや)
 1993(平成5)年4月10日生まれ、26歳。神奈川・座間市出身。小1でボクシングを始め、神奈川・相模原青陵高で高校生初のアマ7冠。2012年10月にプロデビュー。14年4月に当時日本最速の6戦目でWBC世界ライトフライ級王者となった。同年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、日本最速の8戦目で2階級制覇。7度防衛後に返上。18年5月にWBA世界バンタム級王座に就き、3階級制覇を達成した。プロ戦績は18戦18勝(16KO)。右ボクサーファイター。165センチ。

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