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Sportsnavi 2018年3月24日(土) 10:00
4階級制覇へ再起を誓う八重樫東
「小さくてもやればできるところを」
転級は「減量のストレスがないのが楽」と手ごたえ
プロボクシングのスーパーフライ級で日本人初の4階級制覇を目指す八重樫東(35=大橋)が26日に再起戦を行う。対戦相手はインドネシアのフライ級王者フランス・ダムール・パルー(34)。この試合に向けての胸中を語った。
ライトフライ級から(体重48.988キロ以下)からスーパーフライ級(52.163キロ以下)への転級。「減量のストレスがないのが楽ですね。これだけ楽だと相手も同じ条件だから不安になる部分もありますが。減量する最後に水を抜くと体の中の細胞が壊れるんですよ。それが嫌だった。体重を落とさなければいけない時間を練習に打ち込めるのは大きいです」と確かな手ごたえを口にした。
昨年5月、1回TKО負けでIBF世界ライトフライ級王座から陥落した。年齢も若くない。限界説もささやかれた。当然、八重樫の耳にも周囲の声は入ってくる。声を大にして反論するわけではない。穏やかな表情で言葉を並べた。「この前の試合を見て、もう限界と判断するのは早いんじゃないかと。ダメージが蓄積した要素はあると思う。でもそれを覆したいという思いは当然ある。リングで証明したいですよね」
下馬評が低いときこそ燃えるタイプ
下馬評が低いほうが燃える。八重樫の性格は幼少時代が色濃く投影されている。「僕は体が小さくて劣等感の塊だったんです。身長が小さくて小6まで一番前。中学に入学した時も132センチしかなかった。勉強はできないし、スポーツもうまいわけではない。母親が言うには『どうせ僕なんて……』が口癖だったらしいです。自分でも覚えています。端っこにいるのが居心地いい。自分を否定してしまうんですよ」と振り返る。
ただ自分に自信がない少年には、内にほとばしる闘志があった。「下を向いていたけど、どこかでひっくり返してやるという思いはありました。自信がないから積み上げるしかないんです」
バスケ部だった中学時代、毎朝一番乗りで体育館で練習をしていた。コンプレックスの強さは3階級王者になった今も変わらないという。「高校で(ボクシングの)全国チャンピオンになったけどその後の東北大会で負けて、こんなもんなんだなと。自分が強いなと思う時がなかった。チャンピオンになったのもマッチメークした会長やジムのおかげ。周りに恵まれているだけなんです」と屈託なく話す。
たまに活躍する“緑レンジャー”として
八重樫は小学生の時、愛読していた人気バスケット漫画「スラムダンク」の宮城リョータにあこがれていたという。身長はないがスピードと気の強さで相手に立ち向かうプレースタイル。「偶然ですけど、宮城リョータが好きだったのが彩子さん。自分の妻も彩なんです。ああなれば幸せですね」と話す。
現役生活が長くないことは分かっている。でもまだ輝き続けたい。「小さくてもやればできるというのを見てもらいたい。ヒーローもので“緑レンジャー”が好きなんです。ウチのジムだと赤レンジャーは井上尚弥。黄レンジャーは清水(聡)かな。緑は地味だけどたまに活躍する。それでいいんです」。謙虚で誰からも愛される男がリングで己の力を証明する。
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