舟木昭太郎の日々つれづれ
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[拳闘]偉業を顧みられない選手が不憫
3階級制覇も珍しくなくて
長谷川穂積(真正)が、ウーゴ・ルイス(メキシコ)とのWBCスーパーバンタム級世界戦で、ルイスを9回TKOでくだして、5年ぶりに王座に返り咲いた。長谷川は35歳9か月の日本最年長の王座奪取だ。同時にバンタム、フェザーに次いで、スーパーバンタムと3階級も制した。日本選手では、八重樫東、井岡一翔、亀の田興毅に次いで4人目。3階級制覇も希少価値ではなくなった。
1980年代前までは2階級制覇も至難だったのに、いまはいとも簡単に出来てしまう印象だ。これだけボクシング界が盛んなのに、人気は低空飛行、さっぱり盛り上がらぬ。テレビ局の視聴率は軒並み低い。
国民的ヒーローだった具志堅さん
8月31日の田口&河野のダブル世界戦は(テレ東)5%、9月4日の井上×ベッチバボーンの試合(フジテレビ)も10%に届かい。いずれもゴールデンタイムだから寂しい。
かつてこんなことがあった。具志堅用高さんが、引退して間もない頃で、世界戦の取材で三重県四日市市に同行した。あれは近鉄線だったと思うが、到着駅が近づいたので、我々二人は、車両を移動していた。
そしたら婦人会と思しき一団に出会った。さあ、大変、具志堅さんが捉まってしまった。おばさんがたは、カメラを持ち出し、私と1枚、私も孫のために、と我も我もと記念写真をせがみ、収拾がつかなくなってしまった。果物やお菓子を差し出す者もいた。
焦った私は、今度の駅で降りるのですみません、と強引に彼の手を引っ張った。ところが次の車両も御婦人方の団体車両で、ここでももみくちゃになり、危機一髪、辛うじて四日市駅で下車出来た。かように具志堅さんは、国民的英雄であった。
果たして3階級王者たちは、どうであろうか。ボクシングのヒーローが、国民的ヒーローであった時代、もうあんな万華鏡のような時代は、ボクシング界に二度と来ないのだろうか。三階級制覇も、山中の11連続防衛も霞むこの頃。偉業を成し遂げた選手が不憫だ。
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