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サンスポ 2018.5.31 11:30
大橋会長の粋な美学!「尚弥がボクシング界の大谷になれるかもしれない」
特集:ベテラン記者コラム・乾坤一筆
興奮した口調で会心の勝利を振り返る新王者の横で、大橋秀行会長は椅子に深くもたれ、脱力感が漂っていた。大橋ジムに所属するプロボクシングの井上尚弥が25日、ジェイミー・マクドネル(英国)にTKO勝ちで世界3階級制覇を達成したWBAバンタム級タイトルマッチ後の光景だ。
多弁な会長がほとんど言葉を発しない。その理由を問うと、「勝つのは分かっていた。王者をリングに上げる俺の仕事ができて本当によかった」との答えが返ってきた。米国、英国で生中継された一戦は、大橋会長の興行主としての大胆な交渉術が実現させたものだった。
近年、英国のボクシング人気は隆盛を誇り、ヘビー級王者アンソニー・ジョシュアの世界戦に9万人が集まるほど。有利なホームで高額なファイトマネーを手にできる王者が、国外で闘うメリットはない。2016年12月、大森将平の世界戦(京都)が、IBF世界バンタム級王者のリー・ハスキンスのけがで直前に中止。英国人王者が初めて日本のリングに立つ計画は実現しなかった。
一筋縄ではいかない英国人との交渉。布石を打っていた。昨冬、WBA世界Sバンタム級タイトルマッチの交渉で、王者陣営の要求を丸飲みした。「危険すぎる」と周囲は心配したが、この行動が世界のプロモーターに好印象を与えた。
そして今年1月、井上の世界戦に向けた交渉が始まると“白紙の小切手”を差し出した。要求額はバンタム級で破格の6000万円以上。「ここで値切ったら足元を見られる」。ためらわずに満額回答したことで、Sバンタム級への転向を検討していた英国人王者を来日させることに成功した。
「この試合で尚弥がボクシング界の大谷翔平になれるかもしれない。好きなことに投資すれば何かが変わる。俺がカウンタックに乗っても何も変わらない」。決戦に懸けたプロモーターの粋な美学を思い知らされた。

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