2014年11月16日日曜日

村田の相手の愛称は野獣

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THE PAGE 2014.11.11 17:24
村田の次戦は31戦24勝の「野獣」!
プロ第6戦に臨む村田(左)と世界王座決定戦に出場するリナレス
 WBC世界ミドル級8位にランクされているロンドン五輪金メダリストの村田諒太(28歳、帝拳)が12月30日、東京体育館でジェシー・ニックロウ(27歳、アメリカ)とプロ転向第6戦を行うことが11日、都内のホテルで発表された。また同日同場所で帝拳所属の元2階級王者で、現在WBC世界ライト級1位のホルヘ・リナレス(29歳、ベネズエラ)が、同級2位のハビエル・プルエト(27歳、メキシコ)とWBC世界ライト級王座決定戦を行うことも発表された。無敗のオマール・フィゲロア(米国)が王座を返上、Sライトへの転級を決めたため、空位となったタイトルを争うもの。これで、12月30日、東京体育館では、井上、八重樫、リナレスのトリプル世界戦にプラスして村田という豪華なラインナップが揃うことになった。
 今回、村田の相手に選ばれたジェシー・ニックロウは、31戦24勝(8KO)4敗3分のプロ戦績を持つ白人のファイターで愛称は野獣。スキンヘッドで両腕と、右胸、背中に勇ましいタトゥーを入れ、その容姿は迫力満点だ。トランクスのベルト付近にはわざわざ「Beast〔野獣〕」と書き入れている。
 2011年には元4団体統一王者で、あのバーナード・ホプキンスを破ったジャーメイン・テーラー(米国)の再起戦の相手に選ばれ、8回に防戦一方となった場面でレフェリーストップとなったが、直後に「まだやれる!」と裁定に不満を訴えて暴れた。野獣と呼ばれるのは、その凶暴な性格ゆえ。身長は175でミドルにしては上背はなく、ジャブなどのリードブローは使わず、ガードを固めたまま至近距離からフック、ボディというスイング系パンチを軸にふりまわすファイタータイプで、右フックには“交通事故”となる危険性はある。ただ、肝心のパンチ力にもスピードにも欠けて怖さは、まったくない。プレッシャーをかけられると下がるし、ディフェンスはガード中心なのでパンチは当たる。
 村田が映像を見たという2009年のフェルナンド・ゲレロ戦では、ガードの上からフックを打たれて、よろけていた。直近の試合は、3月のスコット・シグモン戦だが、10回にTKO負けをしている。村田が、世界へ向けて経験を積むために初めて選んだファイタータイプという部分がミソなだけで、KO勝利は必至のカード。
 「アグレッシブなファイタータイプなので噛み合うとは思う。見ている人は面白い試合になる」と村田も語っていたが、コンディションさえ万全にできれば番狂わせは考えにくい。帝拳らしい、しっかりと村田の先を見据えたマッチメークだろう。
 9月のプロ転向第5戦では連続KO勝利が途絶えた。途中で、スタミナ切れを起こし、レベルが高くなれば、一発を狙っては簡単に倒せないという現実を突きつけられた。
 前日まで1週間行った走りこみ中心の成田キャンプでは、気分転換に生まれて初めてのゴルフを体験したという村田は、そこにボクシングに通じるようなヒントをみつけたという。
「止まっているボールを打つゴルフでさえ強く打とうとするとちゃんと当たらない。当てよう、当てようと力んでもダメなんですよね。考えすぎないほうがいい。KOは狙うものではなく、流れの中で、結果としてついてくるもの」
 今回は、試合までに恒例のアメリカ・ラスベガスでのキャンプは張らずに国内で調整する予定。これまで村田を見ていたイスマエル・サラス、トレーナーとのコンビも解消。環境も新たに次のステップへ踏み出す。
「国内、海外と、それぞれにメリットがあるし、環境の変化でどうなるかは、やってみなければわからない。練習で作ったもの以上のことは試合で出せない。試合で出すべきものを練習でやっておけという話。試合で魅せたいなら、そういうラッシュや、想定したものを練習でやっておかねばならないと思う」 村田は、この日、丁寧に記者の取材に対応していたが、それを聞いていて印象に残ったのは、自ら2年前のロンドン五輪金メダルの話をだして「職業としてプロボクサーを選んだ時点で、プレッシャーを受け、こうなることの覚悟はできている」と言ったこと。世界への階段を上っていくにつれ、その結果と内容を高いレベルで問われる。そして、我々の想像以上に、村田自身が、金メダリストの宿命を背負いながら、超難関のミドル級の世界ベルトへ向かうことの厳しさを感じ取っている。 彼の口癖のような哲学を借りれば、スポーツは、確かにすべてが結果論、今は、その最高の結果にむけて、結果以上に重要なプロセスの時期である。

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