2014年11月16日日曜日

果敢に踏み込み、先手を取り、間を詰める

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さうぽんの拳闘見物日記 2013-04-10 18:35:35
「鷹」のインスパイア 八重樫東、五十嵐俊幸を打ち崩す
五十嵐俊幸vs八重樫東戦を見ていた時、あれ、こんな試合、というか、こういうボクシング、どっかで見たなぁ、とぼんやり思っておりました。
長身のサウスポーに、そのリーチを生かして、存分にジャブを出させ、距離を維持して、じっくり構えられてしまっては自分が不利だ、という強烈な自覚のもと、小柄な体躯のファイターが、果敢に踏み込み、先手を取り、浅くともヒットがあればそれを切欠にして、相手の思いより先に次、そのまた次、と手を出して攻める。
そして、ヒットが取れなくても、バックステップは最小限に抑えて、出来るだけ距離を詰めた状態で、頭を動かして防御し、次の攻め手を出す。
スピードを生かし、テンポを上げ、間を詰めることによって、体格面の不利を逆に、自分の優位性に転じさせる、果敢さと知略のファイタースタイル。
八重樫東はそのような闘いを最初から最後まで貫いたことにより、アマ時代に4度敗れたという五十嵐俊幸のリーチを殺し、最近自信を持っていたと思われる接近戦でも、思うように手を出せない展開を作り上げ、
終盤になってもリズムを落とさずに攻め続けて、一段飛ばしの二階級制覇を達成しました。
単に果敢、勇敢と言って済ませることの出来ない、知略を感じさせる闘いぶりは、上記した通り、どこか既視感のあるものでした。
そして試合後、あれこれとネットで記事を見ていたら、この記事に出くわしました。
ああ、そうか、張正九だ。では五十嵐がイラリオ・サパタだったわけか、となんとなく合点がいったような気がしました。
単に前に出るわけではなく、何故そうせねばならないか、そうした方が良いか、を本人が理解した上で、正確なヒットと丹念な防御を共存させた攻撃スタイルは、攻略至難の技巧派サパタをフルに追い回して惜敗し、再戦ではわずか3回でギブアップさせた若きコリアン・ホーク、張正九に倣ったものだったのだ、と。
感心させられるのは、このインスピレーションをもたらしたのが、他ならぬ大橋秀行会長だったということです。
自らを二度破った張について、現役時代の大橋「選手」は「ボクは張のファンなんですよ、あのファイティングスピリットが良い」と語っていたものですが、自分の弟子が張のスタイルに倣うべきだと、五十嵐戦について示唆するその適切さ、センスに感服します。
このような会長を得て、八重樫東は本当に心強かったんじゃないでしょうか。
対する五十嵐俊幸は、八重樫が大橋会長から得たような示唆を得ていたようには見えませんでした。
体格、本来のスタイルで言えば、五十嵐はアウトボクシングをするべきなのでしょうが、世界戦出場前後からの五十嵐は、攻撃的な、足を止め加減のボクシングで、接戦を勝ち抜いてきた事実があり、二階級下の世界王者だった八重樫を迎え撃つにあたり、どちらに徹して闘うべきか、その選択が結果的に間違いだったのかな、と思ったりもしました。
見た感じでは、打ち合って勝とう、勝てる、と踏んでいたようにも思えましたが、
それが八重樫のテンポについていけない展開を生み、その後の立て直しが出来なかった感があります。
八重樫はアップテンポなボクシングが出来る反面、試合のどこかでペースが落ちる面もあるのですが、その波を見極めて反撃する、という展開もありませんでした。
この試合は、八重樫東の見事な「長身攻略」の雛形として、記憶されるべき一戦、だと思います。
いつかまた、小柄なファイターが、攻略至難な長身相手に挑むとき、示唆に富む一戦としてこの日の八重樫に倣って闘うことがあるかもしれませんね。

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